[1984_04_20_02]核燃料サイクル三施設 きょうトップ会談 電事連会長ら来県 下北立地 県に協力要請へ 市浦立地求め陳情 本腰入れ誘致運動展開 村議会でも決議 「知事への要請 中止すべきだ」 共産党 「協力断れ」と申し入れ 反核実行委 知事、慎重な検討表明(東奥日報1984年4月20日)
 
 【東京支社】電気事業連合会の平岩外四会長(東京電力社長)、大垣忠雄副会長、玉川敏雄東北電力社長は二十日来県し、ウラン濃縮、再処理、低レベル放射性廃棄物貯蔵の核燃料サイクル三施設の本県への立地について、青森市のホテルで北村知事に協力を要請する。立地地点については「下北半島の太平洋岸」と抽象的な表現にとどめる見込みで、漠然とした協力要請となる。しかし、正式要請により、核燃料サイクル施設の立地問題は具体的に動き出すことになる。
 電事連は十八日の社長会で核燃料サイクル三施設の本県への立地要請を正式に決定した。しかし、立地地点や事業概要、建設日程などについては「九電力問で詰める点が残っている。国の計画とのすり合わせが必要で、具体的な計画がまとまるのは夏ごろ」(平岩会長)として、まだ固まっていない。
 立地地点は(1)三施設とも上北郡六ヶ所村のむつ小川原地区(2)ウラン濃縮と放射性廃棄物貯蔵施設はむつ小川原だが、再処理は下北都東通村−との二案が協議の対象となっている。このうちむつ小川原への三施設の立地に関しては、むつ小川原開発計画の見直しにつながり、十三省庁の閣議了解などの手続きが必要。一方の東通への再処理工場の立地も、東通原発の漁業補償交渉の最中であり、交渉への影響が予想されるなど難問を抱えている。
 要請を受けて県は対応策を協議するが、北村知事は「安全性に留意しながら、広く県民の意見を聴いていく」と、県論の取りまとめに入る意向だが、曲折が予想される。

 「知事への要請 中止すべきだ」 共産党

 【東京支社】共産党の津川武一代議士と木村公麿県議は十九日、電車連の平岩外四会長と岩動行科技庁長官に対し、「二十日の知事への要請を中止すべきだ」との申し入れを行った。
 その理由として(1)使用済み核燃料の再処理は世界的にも技術や安全性が確立されておらず、東海村の動力炉・核燃料開発事業団の再処理工場も技術的未確立と構造的な欠陥によって事故、故障が発生し今も運転が停止している(2)廃棄物貯蔵・処分についても「安全評価手法」の整備等もまだ確立されていない」などの点をあげた。

 「協力断れ」と申し入れ 反核実行委 知事、慎重な検討表明

 反核県実行委員会を構成する社会党、県労、護憲連合、原水禁四団体は十九日、北村知事に「核燃料サイクル三施設の本県立地に同意しないよう」申し入れた。
 四団体代表は(1)三点セットのうち特に再処理施設について米、仏で事故、茨城県東海事業所でもトラブル続きと、安全性が確立されていない(2)鹿児島県や長崎県で拒否したものが、本県に来るのには疑問がある(3)国の原子力行政に対する県民の不信が高まっているーなどと指摘した。
 知事は(1)電力サイドから話を聞いたあと、改めて四団体をはじめ県民各界から意見を聞く(2)県民の意向を聞き慎重に検討するのが知事の責務(3)再処理を含め核燃料サイクル施設は、電力業界としてどこかでやらねばならない施設と考える−との見解を明らかにした。
 会談には山内弘社会党県本部委員長、佐川礼三郎県労議長ら、県から知事のほか山内、山田両副知事が出席した。
 四団体は二十日来青する平岩電事連会長に立地計画の撤回を申し入れる。

 市浦立地求め陳情 本腰入れ誘致運動展開

 北郡市浦村の三重貢村長は十九日、村内に核燃料サイクル施設を設置してほしいと県に要望した。同村の誘致運動には北郡町村会が同意を与えており、周辺五町村の首長や議長が同行した。
 三重村長は山内善郎副知事と会い(1)村は過疎からの脱却と地域再生を目指し、三年前から名乗りを上げていた(2)地域活性化と県土の均衡ある発展のため市浦立地が最適ーなどの理由を挙げ、県に対し配慮を要望した。山内副知事は「立地場所は県が運ぶわけでなく、あくまで電力業界が主体になって選定する。要望の趣旨は伝える」と答えた。
 市浦村では十七日、北郡町村会に諮り誘致運動への同意を得、同町村会は核燃料施設特別委員会を設置して、市浦村への協力方針を決めた。三重村長によると「昨年までは安全性を心配する声が村内にあったが、最近になって誘致に本腰を入れるよう突き上げが強まり、村の取りまとめには自信がある」という。

 村議会でも決議

 北郡市浦村議会は十九日、会員協議会の後、臨時議会に切り替え、核燃料サイクル施設の誘致を決議した。県内の市町村で正式に名乗りを上げたのは初めて。
 同村への再処理工場誘致の話は五十七年ごろから持ち上がり、当時の白川治三郎村長が誘致へ積極的に動いた経緯がある。

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