[2016_12_15_02]原燃 安全管理で不適切対応 再処理審査にも影響 規制庁、合格判断できず(東奥日報2016年12月15日)
 
 事実と異なる評価書を作成するなど日本原燃の安全管理部門で不適切な対応が発覚した問題で、原子力規制庁は14日、原燃による原因究明や改善が実行されない限り、六ヶ所再処理工場やウラン濃縮工場は安全審査に合格しないとの見通しを示した。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は同日の定例会見で「原燃の技術的能力に関わる。(審査への)影響はゼロとは言えない」との見方を示した。
 規制庁担当者は取材に、現状のままでは両社施設の審査合格は判断できないと説明。ウラン濃縮工場は事実上の合格証となる審査書案の作成に入る見通しだったが、再度審査会合を開くなどの対応が必要となった。再処理工場の審査で原燃は年内に一通りの説明を終え、最終補正申請書を提出する目標を立てていたが、実現は極めて困難になった。
 原燃はウラン濃縮工場での放射性廃棄物の不適切管理が保安規定違反と判定されたことなどを受け、6月に安全管理を束ねる安全・品質本部を設置。しかし11〜12月の規制庁の保安検査で、社内連携や人材育成の対応が終わっていないにもかかわらず、同本部が改善済みとする評価書をまとめたことが明らかになった。
 規制委は14日、原燃の対応は保安規定違反に当たると判断し、来年1月末までに詳細な原因や是正計画を報告するよう原燃に命じた。
 原燃の工藤健二社長は同日夕、都内で規制委の臨時会合に出席し、「誠に申し訳なく、極めて重く受け止めている」と述べた。評価書が事実と異なったのは、安全・品質本部長を兼ねる石原準一副社長の思い込みが原因だとし、虚偽評価の意図は否定した。今後は工藤社長が安全・品質本部長に就き、業務を直接管理する。
 今回の事態を受けて、六ヶ所村の戸田衛村長は「村民の信頼を大きく損ねる問題で、大変残念」とのコメントを出した。
     (古川靖隆)
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