[2023_09_18_01]川内原発運転延長 審査大詰め 九州電力は新制度にも備え 1、2号機で異なる手続き、県民投票の行方にも注目(南日本新聞2023年9月18日)
 
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川内原発運転延長 審査大詰め 九州電力は新制度にも備え 1、2号機で異なる手続き、県民投票の行方にも注目

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 40年超運転に向けた原子力規制委員会の審査を受けている川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)は、技術的議論をおおむね終え、早ければ年内に認可される。九州電力は、最終認可に必要な手続きを進める一方、運転延長の新たな審査制度への移行にも備える必要がある。
 川内原発は、2011年の東京電力福島第1原発事故を受け、運転期間を「原則40年、最長60年」と定めた現行制度で審査中。認められれば、1号機は44年7月、2号機は45年11月まで運転できる。
 22年10月、規制委に運転延長を申請した九電が「戸惑った」(関係者)のが、岸田文雄首相が昨夏打ち出した「原発の長期利用」だ。60年超の運転に道を開く制度変更で、30年を超えて運転する場合、10年ごとに「長期施設管理計画」の認可を規制委から受けることが義務付けられた。
 規制委事務局の原子力規制庁によると、新制度施行と同時に、現行制度での認可効力は失われる。このため九電はいったん現行認可を受け、その後、あらためて審査を受け直す。ただ、事業者の過剰負担を避けるため、現行審査で使った特別点検の結果やデータを新制度で併用することが認められている。
 規制委は8月下旬、新制度移行で必要な事前申請を10月1日から受け付けると決めた。電力各社が準備に取りかかる中、九電をもうひとつ悩ませそうなのが、新制度への移行日が25年6月に予定されたことだ。
 24年7月に40年を迎える1号機は、移行日までの約11カ月は現行制度下で運転を延長する。これに対し、2号機は移行日を5カ月過ぎて40年を迎えるため、「1、2号機で認可手続きが異なる」(規制庁)という。九電は、短期間に複数の申請・審査を同時並行で進める必要がある。
 九電は南日本新聞の取材に、「現行法での審査に丁寧に対応する。その後、改正法に基づく申請(新制度)に向けても準備を進めていく」と答えた。
 川内原発については、県民投票を巡る動きも注目される。市民団体「川内原発20年延長を問う県民投票の会」が集めた署名が直接請求に必要な数を上回るのは確実な状況。会は9月下旬にも条例制定を請求し、塩田康一知事は20日以内に県議会を招集。議会が条例の可否を審議する。
 法的拘束力はないが、投票が行われその結果次第では運転延長に影響を及ぼす可能性がある。
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