[2021_07_09_03]プルトニウム保有量46.1トン 3年ぶり増加 国際社会は懸念(毎日新聞2021年7月9日)
 
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プルトニウム保有量46.1トン 3年ぶり増加 国際社会は懸念

 内閣府は9日、日本が2020年末時点で国内外に保有するプルトニウムの総量が約46・1トンだったと国の原子力委員会に報告した。前年より約0・6トン増えていた。原子力委は18年7月に改定したプルトニウムの利用指針で、保有量を減少させると明記。最近は減少傾向だったが、3年ぶりに増加に転じた。
 プルトニウムは、原発の使用済み核燃料から再利用するために取り出される。しかし、国際社会からは核兵器への転用が可能として、日本の大量保有が懸念されている。
 報告によると、今回増加したのは、英国で核燃料から取り出されて保管していた分のうち、手続きの遅れから在庫に計上されていなかった約0・6トンが新たに加わったため。英国とフランスでの取り出しは既に完了しており、今回の計上で未計上はなくなった。英仏での保管分がこれ以上増えることはないという。
 プルトニウムは、ウランを混ぜた「MOX(モックス)燃料」と呼ばれる核燃料に加工し原発で消費する。しかし、20年は新たにモックス燃料を使った原発はなく、国内の保管分は前年と同じ約8・9トンだった。
 使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)が23年度に本格稼働すれば、保有するプルトニウムが増えるが、23年度に想定する取り出し量は0・6トンにとどまる。一方、大手電力で作る電気事業連合会は、21〜23年度にプルトニウムを年0・2〜1・4トン消費する計画だ。原子力委の上坂充委員長は「今後は保有量は減少傾向にある」との見解を示した。
 東京電力福島第1原発の事故後、モックス燃料が使える原発が再稼働したのは、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)など計4基だけ。電事連は30年度までに「少なくとも12基」に増やし、年間6・6トンのプルトニウムの消費を目指すが、地元の同意など再稼働の先行きは見通せていない。【岡田英】
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