[2023_02_04_02]【詳報】高浜原発4号機「自動停止」は『制御棒』の駆動装置の不具合が原因の可能性も(MBS2023年2月4日)
 
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【詳報】高浜原発4号機「自動停止」は『制御棒』の駆動装置の不具合が原因の可能性も

 今年1月30日に関西電力の高浜原発4号機(福井・高浜町)の原子炉が自動停止した問題。核分裂を制御する「制御棒」を作動させる装置の不具合が原因だった可能性が浮上しています。
 関電の高浜原発4号機は、1月30日午後3時すぎ、中性子量の急減を示す警報が発信され、原子炉が自動停止しました。原子炉の冷却は問題なく進み、翌31日の夜には冷温停止状態になりました。放射性物質の漏れなどはないということです。一方、自動停止直前の状況が徐々に明らかになり、制御棒を作動させる装置の不具合が自動停止の要因である可能性が浮上しています。
 制御棒とは、中性子を吸収しやすい物質で作られている棒で、原子炉内の中性子の量を調整し、核分裂を「制御」する役割を持っています。制御棒を原子炉内に入れ、多くの中性子が制御棒に吸収される状態にすると、核分裂の回数は減少して原子炉の出力も減ります。逆に、制御棒を原子炉から抜くと、原子炉内の中性子の数が増え、核分裂の回数も増加して原子炉の出力が増します。引き抜かれた制御棒は、2か所の「ラッチ」と呼ばれる部分に引っかけられ、電磁力を用いながら保持されます。
 高浜4号機は運転中だったため、制御棒は抜かれていましたが、関係者によりますと、1月30日午前0時すぎに「制御棒駆動装置」の故障を示す警報が発信されていました。2か所のラッチのうち、1か所の電流値が通常よりも低いことが判明したということで、確認作業のため、そのラッチのコイルの電源を切ったということです。通常はラッチが1か所だけでも制御棒は保持できるということですが、コイルの電源を切った後に中性子量の急減を示す警報が発信されたということです。つまり、制御棒が予期せぬ形で原子炉に落下し、中性子量が急減した可能性が出てきています。
 なお、高浜4号機では「制御棒駆動装置」の故障を示す警報が1月25日・29日にも発信されていたということですが、その際はラッチの電流値に異常は認められなかったということです。
 一方で、中性子の検出器に何らかの異常が起きていた可能性もまだ排除できないということで、関電は自動停止に至った原因を引き続き詳しく調べています。現時点で運転再開のめどは立っていません。
 原子力規制庁によりますと、営業運転中の原発で原子炉が自動停止したのは、2011年10月に九州電力の玄海原発4号機(佐賀・玄海町)が自動停止して以来だということです。その際は、タービンを回し終えた蒸気を冷やして水に戻す「復水器」の異常が原因でした。今回の高浜4号機と同じく、中性子量の急減を示す警報が発信され原子炉が自動停止したのは、1988年12月の関電の高浜原発3号機以来だということです。
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