[2018_01_28_01]いつ噴火しても…111の活火山が“原発大国”の日本を襲う(日刊ゲンダイ2018年1月28日)
 
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いつ噴火しても…111の活火山が“原発大国”の日本を襲う

 本白根山の約3000年ぶりの噴火で、日本列島に111ある活火山がいつ噴火してもおかしくないことが分かった。不安になるのは、もし噴火が原発を襲ったらどうなるのか――ということだ。列島のあまたの火山は原発の大きな脅威なのだ。
 さすがに火山の真横には原発はない。原子力規制庁は「特に距離で線引きをしているわけではありませんが、原発の立地に当たっては、160キロ以内の活火山を抽出し、『火山影響評価』をしています」(原子力規制部地震・津波審査部門)と説明する。
 たしかに、敦賀、大飯、美浜、高浜と、原発が集中し、原発銀座と呼ばれる若狭湾の周辺に活火山はまったくない。しかし、「評価」で問題ないとされれば、火山から160キロ以内でも立地OK。北海道の泊原発とニセコ火山は約30キロ、九州の川内原発と霧島山は約60キロしか離れていない。真横ではないが、火山の近くに原発は立地しているのである。日刊ゲンダイは原発近くの火山をピックアップ。実に37にも上る(別表)。
 立命館大環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)が言う。
「隣接しているわけではないので、火山の噴火が原発を直撃することはないでしょう。しかし、噴火で大量に発生した火山灰が原発を襲うと、電気系統や通信システムがやられてしまいます。制御が不能になると、メルトダウンが起き、炉心が損壊し、放射能漏れの恐れもあります。福島原発を津波が襲い、電源喪失したのと同じです」

■火山灰に漏れた放射能物質が付着

 2011年の東日本大震災以降、関東から北海道にかけての火山は活動が活発になっている。今後、巨大噴火も予想される。火山性微動や膨張が見られる有珠山、八甲田山、十和田は要注意だ。ちょうど泊、大間、東通原発や再処理工場がある六ケ所村に近い場所だ。
 西日本では直下型地震が噴火を誘発する恐れがある。四国の伊方原発、九州の川内原発は活断層のほぼ上にある。活断層がずれると直下型の地震が起こる。近くの阿蘇山や霧島山を刺激すれば、噴火を誘発。火山灰が原発に降りかかる不安がある。

 タチがわるいのが、火山灰の拡散だ。「火山灰に漏れた放射性物質が付着し、風に乗って飛び回るのです。ですから、原発の近隣だけが危険なのではありません。日本列島だけでなく、周辺国にも放射性物質が拡散することになります。例えば、中国と北朝鮮の国境にある白頭山は946年に噴火し、1000キロ以上離れた北海道や東北に5センチ程度の火山灰を降らせています」(高橋学氏)
 火山大国に原発はあってはならない。

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