【記事83150】地に落ちた原子力規制委の信頼回復目的の猿芝居 『特重』遅延→運転停止」に騙されるな! 原発反対の原点を確認しながら「特重」無しでの原発稼働を止めろと訴えよう 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その199 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2019年4月26日)
 
参照元
地に落ちた原子力規制委の信頼回復目的の猿芝居 『特重』遅延→運転停止」に騙されるな! 原発反対の原点を確認しながら「特重」無しでの原発稼働を止めろと訴えよう 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その199 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 4月24日(水)の原子力規制委の定例会議が行われている途中に、NHKはウェブに次を掲載し、他メディアも大きく報道した。
「原発 テロ対処施設遅延なら運転停止へ 川内は停止の可能性」
              2019年4月24日11時30分「NHK」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190424/k10011894371000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_007

1.経緯
 以下に、特定重大事故等対処施設(「特重」)についての経緯を確認する。
○2013年7月新規制基準施行(「特重」は一律に5年猶予、2018年7月7日まで)
○2015年8月新規制基準に合格第一号として川内原発が再稼働(「特重」無)
○2015年11月特重5年猶予の起算点を本体施設工事計画認可時に変更
○2019年4月17日規制委CNO会議で電力各社が特重完成間に合わないと表明
○同年4月23日規制委定例会議で特重の期限(5年)を変えないことを確認

2.「特重は」最初から備えているべき
 すなわち、「特重」について規制委は「意図的な航空機衝突などへの可搬式設備を中心とした対策(可搬式設備・接続口の分散配置)。バックアップ対策として常設化を要求(特定重大事故等対処施設の整備)」としながら、私たちの反対意見を無視して「新規制基準」を決定し再稼働優先で「特重」に5年猶予を与えて施行し、川内・伊方・高浜・大飯・玄海が稼働させている間に、5年猶予の起算点を変更して電力会社に更に猶予を与え、そして4月24日の定例会議で期限を変えないことを確認したのだ。
 我々から見たら、5年猶予がおかしいし、起算点ずらしもおかしい。それゆえ、電力会社に期限を守らせるのは当然の規制行政である。
 これがビッグニュースになったのは、「その198」でも述べたように、原子力規制委員会が稼働原発を止めたことが一度も無く、この5年間の審査特に東海第二原発の適合性・運転延長認可で、「審査のいい加減さ」を多くの国民が認識していたからだ。
3.CNO会議
 4月17日の「第8回主要原子力施設設置者の原子力部門の責任者との意見交換会」(CNO会議)を観ると面白い。
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/other/CNO/00000028.html
 関電、中電、東電、九電、四電のトップが、議題1で「原子力エネルギー協議会(ATENA)」なる組織(2018年7月に設立)が今後技術的には電事連に代わって規制委に対応すると表明した後に、「特重」完成が各社揃って1年以上(川内高浜伊方大飯1年、高浜1-2号が2.5年、美浜3号が1.5年)延びると神妙に報告した。
 これに対して、規制委側は山中委員が強く期限延期を否定し、議長役の伴委員も呼ばれたから参加したとする更田委委員長も慎重に否定的見解を述べ、更に原子力規制庁側がより厳しい発言をした。
 山田原子力規制部長:(電力側の資料には)「『特重』施設は信頼性を向上させる為のバックアップ施設であり現時点で(『特重』が無くても)必要な安全機能を備えている」と書かれているようですが、基準を作った時の考え方はセットであって、これが新規制基準として要求する水準ですといって設定したものだ。
 桜田原子力規制技監:最初の「特重」審査を他社も見ていた。様々な判断で(完成までの期限を)見通せなかったのか疑問だ。
 これらのシーンを観て私は既視感を抱いた。そうだ、六ヶ所再処理施設の審査差し戻しを決定する時と同じではないか。
 珍しく規制委のみならず規制庁からも我々から見て当然のまともな発言が次々に出たのだ。結局、原子力規制委員会として(政治的判断により)ここは譲らないとまともな決定をする時には、珍しく結構歯切れ良い発言をするのだ。

4.原子力規制委が原発を止めるか?

 本当に原子力規制委は、来年3月に川内1号機を止めるだろうか?
 残念ながら、これまでの原子力規制委員会・原子力規制庁の行政を振り返れば、何か逃げ道があるから、前述のように厳しさをアピールしたのだろう、と思う。
 規制委から見て優等生であった九電が向こう1年で「特重」を特急で建築する算段を用意するかも知れない。
 あるいは、電事連・ATENA(原子力エネルギー協議会)で協力して「特重」を建築するかも知れない。あるいは、来年3月までに、またまた原子力規制委員会が弾力的対応を決定するかも知れない。
 私たちは、今回のCNO会議や規制委定例会議や更田委員長記者会見などでの規制行政側の(比較的)まともな発言を生かして、「特重」無しでの原発稼働を認めるな、せめて5年経過した原発は直ちに止めろ、と訴えていきたい。
 一方で、原発を稼働すれば、核のゴミを増やし放射能を撒きちらし労働者に被曝させ人々からふるさとも生活も仕事も奪う大事故リスクがあるのだから、「特重」が無くてもあっても原発の稼働は許さないとの原点を見失わないようにしたい。

KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_:SENDAI_:MIHAMA_:OOI_:TAKAHAMA_:IKATA_: