【記事83010】特定重大事故対処施設ができない!! 九州電力、四国電力、関西電力の見通しの甘さ 規制委員会は停止命令を出すべきだ 規制基準不適合の5原発9基は停止せよ (川内1.2号、玄海3.4号、高浜3.4号、大飯3.4号、伊方3号) 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)(たんぽぽ舎2019年4月22日)
 
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特定重大事故対処施設ができない!! 九州電力、四国電力、関西電力の見通しの甘さ 規制委員会は停止命令を出すべきだ 規制基準不適合の5原発9基は停止せよ (川内1.2号、玄海3.4号、高浜3.4号、大飯3.4号、伊方3号) 山崎久隆(たんぽぽ舎副代表)

 新規制基準では、航空機衝突やテロ攻撃に対処するために「特定重大事故等対処施設」を作ることが義務づけられている。
 この施設がなければ原発の運転は出来ない。
 本来は、運転時には完成していなければ意味がないのだが、設計と建設に膨大な時間と資金を要するとして、規制委員会は新規制基準適合性審査書を決定した後の、工事認可計画書を承認したときから5年間で作ること、と規制を緩めた。(規制庁「特定重大事故等対処施設等に係る考え方について」 2015年11月13日付)
 これだけ完成時期に猶予があったのに、それにもかかわらず完成しない。
 当然のことながら、決められた日までに完成しなければ運転できないとすべきところだが、規制庁はまだ猶予をしようとしている。
 以下は業界紙(電気新聞)と地元紙(愛媛新聞)と日経新聞、毎日新聞を並べてみた。
 期限切れ原発は川内1.2号機、玄海3.4号機、高浜1〜4号機、大飯3.4号機、美浜3号機、伊方3号機の6原発12基で、そのうち再稼働しているのは5原発9基。この全部が期限を経過しても完成しないという。

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◎ 原子力規制委員会は17日、被規制者の原子力部門責任者(CNO)との意見交換会を開いた。原子力プラントに対する意図的な航空機衝突やテロ攻撃などを想定したバックアップ施設である「特定重大事故等対処施設(特重施設)」が議題。
 事業者側は5発電所・10基の特重施設について、設置期限に対して約1〜3年完成が遅れるとの見通しを明らかにした。
 このまま設置期限を迎えた場合「基準不適合」の状態となる。規制委は定例会合の場で規制上の対応を今後議論する。(電気新聞2019年4月19日)

◎ 四国電力は17日、テロなどに備えた伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の特定重大事故等対処施設(特重施設)の国による設置審査が長期化し、設置期限の2021年3月から1年程度遅れる見通しを明らかにした。
 同日、電力会社と原子力規制委員会の意見交換会の席上、電力側が施設工事の現状を説明し「対応を検討してほしい」と要請。
 規制委は、間に合わなければ原子炉停止を含む措置を取ると示唆し、定例会合で議論する方針を示した。(愛媛新聞2019年4月18日)

◎ 関西電力、九州電力、四国電力は17日、原子力発電所の新規制基準で設置が義務付けられているテロ対策施設の完成が規制上の期限から1〜3年程度遅れるとの見通しを原子力規制委員会に報告した。規制委は今後、対応を検討する。
 九州電力の川内原子力発電所1号機(鹿児島県)は2020年3月に期限を迎えるが、1年遅れる見通しだという。このままだと基準不適合となり、原発の運転に支障が出る可能性もある。九電は「前例のない施設で工期を見通せなかった」と釈明した。規制委からは「見通しが甘かったということに尽きるのではないか」(更田豊志委員長)など厳しい意見が出た。(日経新聞2019年4月17日)

◎ 原発の新規制基準でテロ対策として設置が義務付けられている「特定重大事故等対処施設」(特定施設)を巡り、既に再稼働している原発を持つ関西電力、四国電力、九州電力の3社は17日、5原発10基の特定施設の完成が期限を1〜3年ほど超過するとの見通しを明らかにした。原子力規制委員会との意見交換で表明した。規制委は今後、公開の会合で対応を決める。
 この日の意見交換では、一部の規制委員から「原則として期限の延長はあり得ない」などと厳しい意見が出た。期限を過ぎた場合、規制委は原子炉の停止を含めた措置を命じることができる。(毎日新聞2019年4月17日)
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 再稼働をしている5原発9基については、そもそも特定重大事故対処等施設の審査が終わっているのは川内原発しかない。他の4原発は審査中。
 その川内原発が1年遅れで、1号機が2020年3月17日、2号機が同5月21日を過ぎても完工しなければ、運転条件を満たさず、「施設の使用停止を求めることとなります」(規制庁)。
  http://www.nsr.go.jp/data/000267846.pdf より
 この施設を最初に法令規定した時は、一律で「新規制基準から5年と」2018年7月7日までに完成しなければならないとされていた。
 そんな期間では作れないと、事業者側から悲鳴が上がり、その結果2015年に原子炉等規制法の規定を変えて、「本体工事計画認可日から5年」で
作ることとされた。今その期限が守れなくなっているのだ。
 当時もパブリックコメントが行われたが、重大事故は待ってくれるわけでもないのに、事業者の都合ばかりを優先する規制庁に大きな批判が集まった。
 ところが事業者が悲鳴を上げると、またしても規制庁は「規制上の対応を今後議論する」などと事業者側の都合を優先する姿勢を示している。
 自ら定めた規制を「逸脱」することを許すことは出来ない。

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