【記事78590】見落し可能性を認めて「非常に難しい」と事業者の解析を鵜呑みし続ける原子力規制委員会 浜岡、柏崎刈羽、東通の耐震評価の誤りを無視するな! 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その187 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2018年12月12日)
 
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見落し可能性を認めて「非常に難しい」と事業者の解析を鵜呑みし続ける原子力規制委員会 浜岡、柏崎刈羽、東通の耐震評価の誤りを無視するな! 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その187 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)


◎ 12月5日の原子力規制委員会定例会議の終りに、次の資料とともに浜岡・柏崎刈羽・東通原発の耐震評価の誤りが報告された。

○東北電力株式会社 2018年12月3日
「東通原子力発電所1号機炉心スプレイ系配管等の耐震評価の解析誤りに係る原因と対策について」
○東京電力ホールディングス株式会社 2018年12月3日
「柏崎刈羽原子力発電所1号機の耐震安全性評価等における高圧及び低圧炉心スプレイ系配管評価の誤りに関する原子力規制庁への報告について」

◎ 東北電力は「東通原子力発電所1号機の建設時の工事計画認可申請書において、炉心スプレイ系配管および炉心スプレイノズルの耐震評価の解析に誤りがある」、東京電力は「耐震安全性評価における、高圧及び低圧炉心スプレイ系配管の応力評価結果の一部に誤りがある」と誤りを認めた。
 さらに、誤りの原因は「東芝が本来使用するべき計算式とは異なる計算式を使用したということで、応力発生値について、低く計算している」、「もともと中部電力の方が、傾向を見て数値がおかしいということで本件を発見した」、などが定例会議で明らかになった。
 不思議なことに、浜岡原子力発電所の誤り報告は、この場に提出されず、HPにも掲載されていない。

◎ さらに、名倉安全管理調査官が定例会議で、解析プログラムNASTRANを使用、配管系の解析で固有値解析結果を確認し、「前と同様の配管系で同様の解析をするということで、そのデータを、許認可で確認されたデータとしてそれをうのみにしてしまって、それに対しての妥当性の確認を怠った」と説明。
 続いて、「やはり工事計画認可等で実績があるデータだからといって、妥当性確認を怠ったということと、それに関しての検証に関して固有値解析だけにとどめてしまった。地震応答解析の検証までしなかったというところに今回の事象の原因がある。」と原因を回答。

◎ 当然、当日の記者会見で、NHK記者が「規制側が審査を進める中で見落としてしまいかねないような根の深い構造の話なのかなという受けとめをした」と指摘した。
 これに対する更田委員長の回答が情けない。
 「これは非常に難しいところではあるのです。要するに、全てに誤りがあるのではないかということで、例えば、傾向分析と言いましたけれども、…パラメータの変動に対して出てきている結果が妥当なところに位置しているかを見れば、誤りを見つけられる可能性はずっと高くなってくる。ただし、そういったことを全ての耐震評価についてやっていたら、工事計画認可に5年とか、それこそ10年かかるかもしれない。要するに、膨大な計算ですし。」

◎ 3つの原発の工事計画認可において誤りをがありそれを規制当局が見落としていたという非常に重い問題が発覚したにもかかわらず、原子力規制委員会は今迄通りに電力事業者やメーカの解析結果をそのまま鵜呑みにし続けると答えたのだ。
 審査に5年以上かかっても、間違いがありそうなら追求するべきだ。

◎ 稼働中の川内・伊方・高浜・玄海・大飯の各原発も心配だ。また、日本原電の東海第二原子力発電所の審査でも、事業者説明鵜呑み故に明らかな耐震「不合格」が発覚、固有周期の計算結果隠しと共振問題など、行政不服審査法に基づく審査請求書を提出している。
 原子力規制委員会は、事業者鵜呑み審査を続け、再稼働を推進するつもりか?

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