【記事24655】東海第2原発あわや 5メートル超の津波が襲う 日本原電(常陽新聞2011年3月26日)
 
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東海第2原発あわや 5メートル超の津波が襲う 日本原電

 11日の東日本大震災では8.5メートルもの津波が押し寄せ、県内でも大洗では4.2メートルの津波が観測された。福島第一原発が津波の被害を受け収束に向けた懸命の努力が続けられているが、東海村白方の東海第2原発にも5メートルを超える津波が押し寄せていた可能性があることが、25日までに分かった。このため、SAWストレーナーエリアや非常用ポンプエリアの側壁から海水が回り込み、非常用ポンプ1台が停止した。同原発は過去の地震から5.7メートルの津波にも耐えられる設計としていたが、今回の震災で早急な対策が迫られそうだ。(園部高秀)

設計は5.7メートルまで、早急な対策必要

 東海第2原発(沸騰水型軽水炉、出力110万kW)は定格熱出力一定運転中の11日午後2時48分、東日本大震災の影響でタービンが停止し、原子炉が自動停止した。この際、常用の外部電源は停止したものの、非常用発電機3基すべてが運転し、必要な電源を供給しているとしていた。
 ところが、その後に津波が押し寄せた。第2原発には4メートルの潮位計があるが、これが振り切れて測定不能になるほどだった。過去の地震などから5.7メートルの津波に耐えられる設計としていたが、原電では被害状況などから5メートルはあったのではないかと推定している。
 取水口回りの海水ポンプエリアには、(1)非常用ストレーナーエリア(2)非常用海水ポンプエリア(3)循環水ポンプエリア(4)非常用海水ポンプエリア(5)ASWストレーナーエリア−などが置かれている。
 このうち、非常用海水ポンプエリアとASWストレーナーエリアは密封されておらず、次回の定期点検で停止した際に工事を実施することなどを検討していたという。ところが、突然の津波で計画が狂い、手当していなかった非常用海水ポンプエリア上の隙間やケーブルピットから海水が回りこんだ。このため、3基あった非常用ディーゼル発電機用海水ポンプのうち1台が停止し、残り2台で電源を確保してきた。
 13日午後7時37分に外部予備電源が復旧、残留熱除去などを行い、15日午前0時40分に原子炉水の温度が100度以下の冷温停止状態となった。
 これ以外にも、低レベル放射性固体廃棄物貯蔵庫の地下廊下付近に津波による海水の水溜りができたり、使用済みプール約25立方メートルとサイトバンカープール約13立方メートルから水があふれたという。
 福島第一原発は5.6メートルの津波にも耐えられるよう設計されていたが、今回それを上回る大津波の襲来により危機的状況に直面している。
 東海第2原発も震源が近かった場合、同様の状態に追い込まれた可能性も否定できないだけに、早急な対策に迫られそうだ。








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