[2024_02_03_06]青野由利の「時を駆ける科学」 能登半島で気になる「地震断層」の名称がややこしいワケ(毎日新聞2024年2月3日)
 
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青野由利の「時を駆ける科学」 能登半島で気になる「地震断層」の名称がややこしいワケ

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 前回、本欄で能登半島地震と原発について書いた時に、頭を悩ませたことがある。この地震を起こしたと推定される能登半島の海域の断層の名称だ。いくつも資料をみていると、同じ断層の話と思えるのに、名前が違う。
 たとえば、産業技術総合研究所は、西から東に並ぶ各20キロ程度の長さの「猿山沖セグメント」「輪島沖セグメント」「珠洲沖セグメント」などが活動した可能性があると指摘している。これらは2007年の能登半島沖地震を受けて産総研が調査して明らかにした断層だ。
 一方、国土交通省が内閣府・文部科学省とともに実施し14年に公表した「日本海における大規模地震に関する調査検討会」では、この領域にある断層を「F43」という名前で呼んでいる。
 また、東大地震研究所の分析では、今回、「NT4」「NT5」「NT6」「NT8」という名称の断層が活動したと推定されている。こちらは文科省の委託で地震研が実施した「日本海地震・津波プロジェクト」で15年に示された断層で、NT4は産総研による「禄剛セグメント」、NT5は「珠洲沖セグメント」、NT6は「猿山沖セグメント」と「輪島沖セグメント」に相当する。
 これだけでもややこしいが、まだある。北陸電力は昨年、志賀原発周辺の断層について評価した資料で、「猿山沖セグメント」「輪島沖セグメント」「珠洲沖セグメント」「禄剛セグメント」の四つが96キロの「能登半島北部沿岸域断層帯」として連動する可能性を示していた。

 こんなに名称が違っても

 これらを総合すれば、以下の断層はほぼ同じものであり、今回の地震で動いた可能性が高いということになる。

 ▽「猿山沖セグメント」「輪島沖セグメント」「珠洲沖セグメント」「禄剛セグメント」(産総研による名称)▽「F43」(国交省の検討会による名称)▽「NT4」「NT5」「NT6」(地震研による名称)▽「能登半島北部沿岸域断層帯」(北陸電力による名称)
(後略)
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