私の公開質問状ーその七 拝啓 東京電力社長殿 前和光大学教授・「開発と公害」編集代表 生越忠 【Page 70】(月刊経営塾11月号(1988)1988年11月1日)
 
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※以下は本文をテキスト化したものである

揺れ、原子炉建屋の安全性が損われるおそれがあるからであります。
 ところで、以前は、原子炉建屋の基礎岩盤の岩石試験値の表示に際し、各岩種ごとに、各試験項目についての最低値・平均値および最高値が明示されていましたが、最近では、最低値およぴ最高値は示されず、たんに平均値およびその標準偏差が示されるだけになりました。
 しかし、原子炉の安全性にはいささかの不安もあってはならないので、原子炉建屋の設計にあたっては、基礎岩盤の岩質の最悪の部分の岩石拭験を知ることが大切であり、設計は、最悪値に基づいておこなうべきだと思うのですが、この点についての貴下のご見解をお聞かせ下さい。

三、地震予知のための観測強化地域および特定観測地域に原発立地点を選定するのは、大変危険なことではありませんか。

 日本は地震国で、全国のいたるところに「地震の巣」があるとはいえ、地震の危険度はどこも同じというわけではありません。
 そこで、地震予知連絡会は、近い将来、M=8クラスの地震の発生の可能性が他より高い地域を観測強化地域に、M=7クラスの地震の発生の可能性が他より高い地域を特定観測地城に指定していますが、現在仙台地方裁判所で係争中の女川原子力発電所建設工事差止請求事件においても、被告の東北電力(株)は昭和六十年九月六日に提出した準備書而(一六)で、同原発が特定観測地域の「宮城県東部・福島県東部」に立地していることに問連して、「特定観測地域に指定された地域は、近い将来における地震発生の可能性が他に比して大きいと考えられるような地域」であることを肯認しています。
 ところが、日本の原発の大部分は、あろうことか、観測強化地域あるいは特定観測地域のど真ん中、または、その隣接地域に立地しています。そ