[2020_12_04_04]大飯原発3・4号機の再稼働巡り、国の「設置許可」取り消し命じる…大阪地裁(読売新聞2020年12月4日)
 
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大飯原発3・4号機の再稼働巡り、国の「設置許可」取り消し命じる…大阪地裁

 関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の安全性に問題があるとして、福井や大阪など11府県の住民約130人が、原子力規制委員会による「設置変更許可」の取り消しを求めた訴訟の判決が4日、大阪地裁であった。森鍵一裁判長は「規制委の判断には不合理な点があり、許可は違法だ」として、許可を取り消した。
 規制委事務局の原子力規制庁によると、2011年の東京電力福島第一原発事故後に強化された新規制基準に基づく設置変更許可を取り消す司法判断は初めて。原発が即座に止まる仮処分決定とは異なり、取り消しの効力は判決が確定するまで生じない。
 訴訟の最大の争点は、大飯周辺で想定される最大の揺れ「基準地震動」に対する規制委の評価の妥当性だった。関電は基準地震動を856ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)と定めて安全対策工事を実施。規制委が内規の「審査ガイド」に基づいて審査し、17年5月に合格した。
 判決は、福島原発事故後に定められた審査ガイドが、過去の地震のデータを基に算出した地震規模の平均値に加え、これを大きく上回る規模の地震(ばらつき)も考慮するよう求めていると指摘。その上で大飯の基準地震動について「関電はばらつきを考慮する必要があるかどうか検討しておらず、規制委も検討せずに設置変更許可を与えた。規制委の判断過程には看過しがたい過誤、欠落がある」とした。
 3、4号機は現在定期検査中で、運転を停止している。原子力規制庁は「関係省庁と協議の上、適切に対応したい」とのコメントを出した。福島原発事故後、原発の運転を認めない司法判断はこれまでに6件あり、いずれも確定していない。
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