[2020_07_29_04]再処理工場審査書決定に抗議する・たんぽぽ舎声明 海洋や大気に原発とは比較にならないほど多量の放射性物質を拡散させる工場の許可に、強く抗議する 原子力規制委員会は審査書を撤回せよ 核燃サイクル事業は直ちに中止せよ 核のゴミを青森に押しつけるな 核のゴミをどうするかの議論を開始せよ(たんぽぽ舎2020年7月29日)
 
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再処理工場審査書決定に抗議する・たんぽぽ舎声明 海洋や大気に原発とは比較にならないほど多量の放射性物質を拡散させる工場の許可に、強く抗議する 原子力規制委員会は審査書を撤回せよ 核燃サイクル事業は直ちに中止せよ 核のゴミを青森に押しつけるな 核のゴミをどうするかの議論を開始せよ

 日本原燃(以下、原燃)再処理事業所における再処理事業の変更許可について、規制委員会(以下、規制委)は変更許可案を決定した。これにより形式的には再処理工場の操業が可能となる設置変更が許可された。
 本格操業すれば年間800トンの使用済燃料から約7トンのプルトニウムを取り出すと同時に莫大な放射性廃棄物をため込み、海洋や大気に原発とは比較にならないほど多量の放射性物質を拡散させる工場の許可に、強く抗議する。

◎ 再処理施設の稼働は危険

 この審査は「新規制基準適合性審査」であるはずだが、東電福島第一原発事故を教訓とした、あらゆる対策を無視し、原発には義務づけた 日本原燃(以下、原燃)再処理事業所における再処理事業の変更許可について、規制委員会(以下、規制委)は変更許可案を決定した。これにより形式的には再処理工場の操業が可能となる設置変更が許可された。
 本格操業すれば年間800トンの使用済燃料から約7トンのプルトニウムを取り出すと同時に莫大な放射性廃棄物をため込み、海洋や大気に原発とは比較にならないほど多量の放射性物質を拡散させる工場の許可に、強く抗議する。

◎ 再処理施設の稼働は危険

 この審査は「新規制基準適合性審査」であるはずだが、東電福島第一原発事故を教訓とした、あらゆる対策を無視し、原発には義務づけた「特定重大事故等対処施設」の設置も求めず、原発では「メルトダウン」を含む過酷事故は「起こりえるもの」として不十分ながらも考慮したが、再処理工場については、原発のメルトダウンに相当する「燃料貯蔵プール」「高レベル放射性廃棄物貯蔵タンク」「高レベルガラス固化体製造設備」等の溶融や破断を想定しておらず、原発の審査に比べてさえ格段に甘いものとなっている。
 規制委はこの理由について、原発ほどの圧力、核加熱もないこと、温度上昇は緩やかで時間的余裕があり対処が十分出来ることなどで、メルトダウンのような対策はいらないとした。
 しかし「想定外」をこそ想定しなければ規制の意味はない。
 再処理工場は新規制基準にさえ適合していないと考える。

◎ 日常的に環境を汚染する再処理工場

 六ヶ所再処理工場は設置許可時点では年に1京8千兆のトリチウムを含む膨大な放射性物質を排出する計画とされていた。
 今回の審査においては、再処理する燃料体の保管年数を大幅に延長し15年以上経ったものを再処理するとしたことから、この放射性物質の量が崩壊・変換により減少することで、トリチウムの放出量は年間9700兆ベクレルになった。
 再処理工場の運転開始予定が当初設置許可時で1997年だったのが、現在のところ2021年に伸びた結果、燃料の保管期間が延びただけのことだが、伸ばしたら減るというのならば50年でも100年でも伸ばせばさらに減る。
 福島第一原発で貯蔵されているトリチウムは1000兆ベクレルなので、現在大問題になっている海への放出の10倍近い量を一年間で同じ大平洋沿岸部に放出する計画を認めてしまえば、トリチウムだけではない、今後膨大な核のゴミで汚染され続けることになる。
 世界三大漁場と言われる三陸・金華山沖の北(六ヶ所)と南(福島第一)から放出される放射性物質は、海産物と大気を通じて東北地方から日本全国に汚染を広げるのである。これは緩慢な被曝を強要する。断じて認めることは出来ない。

◎ 新たな神話=「放射能安全神話」を許さない
  「原発安全神話」は2011年3月11日東電福島第一原発事故で崩壊

 東電福島第一原発事故により原発の安全神話が崩壊したが、その後起きたのは「放射能安全神話」つまり「基準値以下ならば影響なし」とする態度だ。
 その先鋭的出現場所は東電福島第一原発の被災地と被災者に対して行われた帰還促進と賠償の打ち切り、そして避難指示解除を巡る取引(資金支援や除染を求めるならば帰還せよ)である。
 補償を打ち切るためには生業を回復しなければならないが、一定の汚染があれば生産することは困難である。そこで放射性物質は一定の値以下ならば摂取しても安全との「安全神話」が新たに主張された。
 だが、放射性物質の健康への影響は解明されているわけではなく、個人により影響度合いはかなり異なるだろうと推定されている。
 つまり「身体の弱い」人や子どもには強く影響し、頑健な人(自分が頑健なのかは予め分からない)には影響しにくいと思われる。
 そういう個人差が激しいものについて一律に安全、危険を論じては正しい判断は出来ないのだが、国はあたかも「しきい値がある」かのように振る舞う。
 しかし影響は直線的に現れるとの「確率的影響のリスク評価に、直線しきい値なしLNTモデル」理論を採用すべきことからも、どんなに小さい放射性物質の影響も無くなったわけではないとの考えを採れば、放射性物質を環境に放出する再処理工場は稼働できないはずだ。

◎ プルトニウム収支でも再処理工場は稼働できない=
  「約47トン」を越えて保有することはしないと日本は国際公約した

 再処理工場が仮に「完工」したとしても、使用済燃料を再処理しプルト
ニウムを取り出すことは国際公約上できない。
 日米原子力協力協定が2018年に延長された際、米国から示された「余剰プルトニウムはもたないとの公約との整合性」について、原子力委員会は2018年に「決定」をしている。
 これによれば、2018年末時点のプルトニウム保有量「約47トン」を越えて保有することはしない(キャップ制)。
 プルトニウムはプルサーマルで燃やす計画を着実に実行する(余剰プルトニウム不保持原則)。
 その際には海外(英仏)に保管されている36トンを優先的に使用する(海外再処理優先使用)。
 プルトニウムの抽出はキャップ制の上限を超えない範囲で行う、というものだった。
 これでは再処理工場が稼働する2022年頃では、海外再処理分はまだ30トン以上残ったままであり、六ヶ所再処理工場は試験操業程度しか動かせないことになる。

 本格稼働が可能となるのは海外分がなくなる15年以上後の話(今からなら18年以上後のこと)。
 いったい、完成して15年も動かない(動かせない)工場を認可する合理的理由などあるのか。
 規制委はこのことは審査していない。
 事業成立性は「規制委の審査範囲ではない」からだ。
 最も重要な「事業成立性」が見通せないのに、今後も何十兆円もの電気料金と税金が投入される施設。

◎ このような施設が本当に必要なのか、前規制委員長田中俊一氏さえ「日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた。結果論も含め本当に嘘が多い。最大の問題はいまだに核燃料サイクルに拘泥していること。(『選択』2019年11月号)」と、核燃料サイクルを止めるべきとの主張を続けている。
 原子力関係者の多くからも批判されている六ヶ所再処理工場、MOX製造工場の稼働を強行することは暴挙だ。
 その上日常的に環境を汚染し続ければ、日本は世界中から非難を浴び、福島第一原発事故以上の災害発生国として責任を問われるだろう。
 再処理工場を含む核燃サイクル事業は直ちに中止し、原子力を推進してきた結果生じた核のゴミをどうするか、改めて議論し直すことが必要である。
 たんぽぽ舎は、再処理工場等一連の施設を稼働させないための取り組みをこれからも継続する。

 「特定重大事故等対処施設」の設置も求めず、原発では「メルトダウン」を含む過酷事故は「起こりえるもの」として不十分ながらも考慮したが、再処理工場については、原発のメルトダウンに相当する「燃料貯蔵プール」「高レベル放射性廃棄物貯蔵タンク」「高レベルガラス固化体製造設備」等の溶融や破断を想定しておらず、原発の審査に比べてさえ格段に甘いものとなっている。

 規制委はこの理由について、原発ほどの圧力、核加熱もないこと、温度上昇は緩やかで時間的余裕があり対処が十分出来ることなどで、メルトダウンのような対策はいらないとした。
 しかし「想定外」をこそ想定しなければ規制の意味はない。
 再処理工場は新規制基準にさえ適合していないと考える。

◎ 日常的に環境を汚染する再処理工場

 六ヶ所再処理工場は設置許可時点では年に1京8千兆のトリチウムを含む膨大な放射性物質を排出する計画とされていた。
 今回の審査においては、再処理する燃料体の保管年数を大幅に延長し15年以上経ったものを再処理するとしたことから、この放射性物質の量が崩壊・変換により減少することで、トリチウムの放出量は年間9700兆ベクレルになった。
 再処理工場の運転開始予定が当初設置許可時で1997年だったのが、現在のところ2021年に伸びた結果、燃料の保管期間が延びただけのことだが、伸ばしたら減るというのならば50年でも100年でも伸ばせばさらに減る。
 福島第一原発で貯蔵されているトリチウムは1000兆ベクレルなので、現在大問題になっている海への放出の10倍近い量を一年間で同じ大平洋沿岸部に放出する計画を認めてしまえば、トリチウムだけではない、今後膨大な核のゴミで汚染され続けることになる。
 世界三大漁場と言われる三陸・金華山沖の北(六ヶ所)と南(福島第一)から放出される放射性物質は、海産物と大気を通じて東北地方から日本全国に汚染を広げるのである。これは緩慢な被曝を強要する。断じて認めることは出来ない。

◎ 新たな神話=「放射能安全神話」を許さない
  「原発安全神話」は2011年3月11日東電福島第一原発事故で崩壊

 東電福島第一原発事故により原発の安全神話が崩壊したが、その後起きたのは「放射能安全神話」つまり「基準値以下ならば影響なし」とする態度だ。
 その先鋭的出現場所は東電福島第一原発の被災地と被災者に対して行われた帰還促進と賠償の打ち切り、そして避難指示解除を巡る取引(資金支援や除染を求めるならば帰還せよ)である。
 補償を打ち切るためには生業を回復しなければならないが、一定の汚染があれば生産することは困難である。そこで放射性物質は一定の値以下ならば摂取しても安全との「安全神話」が新たに主張された。
 だが、放射性物質の健康への影響は解明されているわけではなく、個人により影響度合いはかなり異なるだろうと推定されている。
 つまり「身体の弱い」人や子どもには強く影響し、頑健な人(自分が頑健なのかは予め分からない)には影響しにくいと思われる。
 そういう個人差が激しいものについて一律に安全、危険を論じては
正しい判断は出来ないのだが、国はあたかも「しきい値がある」かの
ように振る舞う。
 しかし影響は直線的に現れるとの「確率的影響のリスク評価に、直線しきい値なしLNTモデル」理論を採用すべきことからも、どんなに小さい放射性物質の影響も無くなったわけではないとの考えを採れば、放射性物質を環境に放出する再処理工場は稼働できないはずだ。

◎ プルトニウム収支でも再処理工場は稼働できない=
  「約47トン」を越えて保有することはしないと日本は国際公約した

 再処理工場が仮に「完工」したとしても、使用済燃料を再処理しプルト
ニウムを取り出すことは国際公約上できない。
 日米原子力協力協定が2018年に延長された際、米国から示された「余剰プルトニウムはもたないとの公約との整合性」について、原子力委員会は2018年に「決定」をしている。
 これによれば、2018年末時点のプルトニウム保有量「約47トン」を越えて保有することはしない(キャップ制)。
 プルトニウムはプルサーマルで燃やす計画を着実に実行する(余剰プルトニウム不保持原則)。
 その際には海外(英仏)に保管されている36トンを優先的に使用する(海外再処理優先使用)。
 プルトニウムの抽出はキャップ制の上限を超えない範囲で行う、というものだった。
 これでは再処理工場が稼働する2022年頃では、海外再処理分はまだ30トン以上残ったままであり、六ヶ所再処理工場は試験操業程度しか動かせないことになる。
 本格稼働が可能となるのは海外分がなくなる15年以上後の話(今からなら18年以上後のこと)。
 いったい、完成して15年も動かない(動かせない)工場を認可する合理的理由などあるのか。
 規制委はこのことは審査していない。
 事業成立性は「規制委の審査範囲ではない」からだ。
 最も重要な「事業成立性」が見通せないのに、今後も何十兆円もの電気料金と税金が投入される施設。

◎ このような施設が本当に必要なのか、前規制委員長田中俊一氏さえ「日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた。結果論も含め本当に嘘が多い。最大の問題はいまだに核燃料サイクルに拘泥していること。(『選択』2019年11月号)」と、核燃料サイクルを止めるべきとの主張を続けている。

 原子力関係者の多くからも批判されている六ヶ所再処理工場、MOX製造工場の稼働を強行することは暴挙だ。
 その上日常的に環境を汚染し続ければ、日本は世界中から非難を浴び、福島第一原発事故以上の災害発生国として責任を問われるだろう。
 再処理工場を含む核燃サイクル事業は直ちに中止し、原子力を推進してきた結果生じた核のゴミをどうするか、改めて議論し直すことが必要である。
 たんぽぽ舎は、再処理工場等一連の施設を稼働させないための取り組みをこれからも継続する。

参考
1.「核燃料サイクル」は虚構・つながっていない 絵に描いた餅
 ポスターと説明文あります。(2020年2月たんぽぽ舎32回総会で発行)
  1部無料(送料100円)で発送できます。
  ご希望の方はたんぽぽ舎へご連絡いただければ幸いです。
2.「放射能汚染水を海に流すな」7.22緊急行動〜トリチウムなどの
海洋投棄反対、六ヶ所再処理施設の稼働反対〜の中で実施した院内
ヒアリング集会の動画が次にアップされています。
20200722 UPLAN(前半)
https://www.youtube.com/watch?v=F2qsQ-9GH3E
20200722 UPLAN(後半)
https://www.youtube.com/watch?v=KW7eQSWgV6Y
KEY_WORD:ROKKA_:FUKU1_: