[2019_08_19_03]処理水保管、敷地がネックに=「廃炉に支障」と東電難色−拡張意見も・福島第1原発(時事通信2019年8月19日)
 
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処理水保管、敷地がネックに=「廃炉に支障」と東電難色−拡張意見も・福島第1原発

 東京電力福島第1原発事故で、東電は放射性物質トリチウムを含む処理水のタンクが2022年夏ごろに限界を迎えるとの見通しを示した。
 処理水の処分方法を検討する政府の小委員会は「海洋放出」への反対意見を踏まえ、保管を継続する検討を始めたが、東電は「廃炉作業に影響が出かねない」と否定的な意見を示している。
 福島第1原発の敷地内では、保管中の処理水が7月半ば時点で約115万トンに上る。東電は20年末までに137万トン分のタンクを確保する計画だが、現在のペースで処理水が発生すると22年夏ごろに満杯となる。
 東電は廃炉作業の進展で新たな施設が必要になるとの考えから、敷地内でのタンクの長期保管に難色を示す。政府が21年から開始を目指す溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業では、デブリを専用容器に入れ、敷地内で保管する計画が検討されている。東電は1〜3号機に残された使用済み核燃料も取り出し、敷地内で保管する予定だ。
 東電はこれら保管施設の用地に、計約8万1000平方メートルが必要と推計。処理水用のタンク約38万トン分に必要な広さに相当し、処理水のタンク保管を続ければ、こうした施設建設に遅れなどの悪影響が出ると9日の小委でも主張した。
 ただ、小委の委員からはこうした東電の方針に異論も出ている。3日に増設中のタンクを視察した委員の一人は、敷地北側に広がる残土置き場にタンクを建設できないかと質問。汚染された残土を外部に出すのは難しいと東電が説明すると、「土は出せないがトリチウムは出す、というのは一般には理解しがたい」と疑問を投げ掛けた。
 別の委員からも、原発の敷地自体を拡張する意見も出た。ただ、これにも東電は「ハードルは高い」との見方を示している。
 小委は今後、さらに検討を進めるが、タンクの満杯まで3年。どのような選択でも新たな設備をつくるための準備や工事が必要で、残された時間は多くない。 
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