[2021_04_19_08]福島原発汚染水の浄化設備3基のうち2基が最終許可なしに欠陥を抱え稼動(ハンギョレ新聞2021年4月19日)
 
参照元
福島原発汚染水の浄化設備3基のうち2基が最終許可なしに欠陥を抱え稼動

「使用前検査」の合格手続きを省略 
浄化した水の7割から放射性物質検出 
2018年の報告書でも「性能に不具合」

 福島第一原発の汚染水の放射性物質を浄化するために稼働中の多核種除去設備(ALPS)3基のうち2基は日本政府の最終許可を受けていないことが確認された。最小限の手続きも踏んでいない設備で汚染水を浄化し、海に放出する予定であるため、安全性への懸念がさらに高まるものとみられる。

 18日、日本の国会のホームページに公開された動画を見ると、14日の参議院「資源エネルギーに関する調査会」会議で、共産党所属の山添拓議員が福島原発汚染水について問題を提起し、「ALPSは本格運転前に(経るべき)“使用前検査”すらまだ終わっていないのではないか」と質問した。これに対し、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「汚染水をいかに処理・浄化し、貯留するかは非常に急がれていた」とし、「そういった意味で“使用前検査”等々の手続きは飛ばしている部分がある」と認めた。山添議員は「8年間以上、いわば試験運転の状態が続いている」とし、「(汚染水の)処理をする条件すら整っていないのが現状」だと、政府の対応を批判した。

 日本の原子力規制委員会の規定によると、原子力関連施設や設備の場合、設置許可基準、工事計画、保安規定審査を経て技術基準との適合性を確認する「使用前検査」に合格しなければ、施設を使用できないよう定められている。同規定は、2011年の福島第一原発爆発事故以降、さらに強化された。しかし、東京電力が2013年3月と2014年9月と10月にそれぞれ稼働を始めた「ALPS」のうち1基目と3基目がこれまで「使用前検査」を受けていなかった。最終許可すらない“試験運転”の状態で汚染水を浄化してきたわけだ。

 使用前検査を受けていないALPSについては、すでにさまざまな欠陥が報告されている。東京電力が2018年10月に作成した報告書には、1基目のALPSの場合、ヨウ素129、ルテニウム106、アンチモン125など放射性物質の除去性能が足りないと書かれている。3基目のALPSも、ストロンチウム90など除去性能の持続時間が短いと言及されている。不具合のあるALPSで1次浄化が行われたため、福島第一原発のタンクにある汚染水の70%からセシウムやヨウ素、ストロンチウムなど人体に致命的な放射性物質が基準値以上検出されたのだ。猛毒性発ガン物質であるストロンチウム90の場合、基準値を最小110倍(最大2万倍)以上超過したものが汚染水に残っている。東京電力は、ALPSで再び浄化し、放射性物質を基準値以下に下げてから、海に放出する計画だと明らかにしたが、正確な内容は公開していない。

 龍谷大学の大島賢一教授(環境経済学)は最近、日刊ゲンダイとのインタビューで、「原子力規制委員長が(ALPSについて)本格運用のための審査手続きを『未了』と認めたことは、非常に重大だ」と指摘した。大島教授は「汚染水処理の条件さえ整っていない」とし、「日本政府にも東京電力にも(汚染水の)処理を担う資格はない」と指摘した。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/991546.html
韓国語原文入力:2021-04-19 04:59
訳H.J
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_: