[2021_04_15_04]処理水タンク、規制委員長「置き換え必要」 放出長期化見込みで(毎日新聞2021年4月15日)
 
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処理水タンク、規制委員長「置き換え必要」 放出長期化見込みで

 東京電力福島第1原発でたまり続けている汚染処理水のタンクについて、原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は14日、「(放射性物質の濃度を下げた後の海洋放出が)長期間にわたるなら当然、タンクの置き換えは考えないといけない」と述べた。このままでは、古くなるタンクを新しいものにして汚染処理水を移し替えることが課題になるという。
 タンクの水は現在、東京ドームの容積に相当する約125万立方メートルに上る。政府は13日、タンクの水に含まれるトリチウム以外の放射性物質を国の放出基準未満に下げ、技術的に取り除けないトリチウムは国の放出基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満になるように海水で薄め海に流す方針を決めた。
 タンクの水に含まれるトリチウムの量は、2020年3月時点で約860兆ベクレルになる。東電が約2年後に海に流す際、トリチウムの量は年間で22兆ベクレルを上限にする。このため、この上限が維持されるなら、既にタンクに保管されている水に含まれるトリチウムだけでも、放出し終わるまでに30〜40年かかる。トリチウムの量は、タンクの水が今後も増えるのに伴い増えるので、放出期間はさらに長引く。
 東電の16年6月の資料によると、タンクの耐用年数は約20年になる。更田氏は14日の定例記者会見で「放出に30年以上かかると、タンクの耐用年数の議論は避けて通れない」と述べた。
 一方、トリチウムの年間放出量の上限値について、政府は「定期的に見直すこととする」との見解を示している。この点について、更田氏は「よりふさわしいやり方があれば、関係者の議論や合意を得たうえで、変更というのがあるだろうと思う」と指摘。上限を引き上げて、放出期間を短縮する余地に言及した。【岡田英】
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