[2020_03_16_02]川内原発1号機停止 九電 テロ対策遅れ、全国初(東京新聞2020年3月16日)
 
参照元
川内原発1号機停止 九電 テロ対策遅れ、全国初

 九州電力は十六日、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉が停止したと明らかにした。同日午前二時半ごろに停止作業を始め、午後一時ごろに止まった。テロ対策で設置が義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が期限の十七日に間に合わないためで、特重施設の完成遅れによる原発停止は全国で初めて。九電は主に火力発電を活用して電力不足を補い、電力供給には支障が出ない見通し。
 特重施設の整備とともに定期検査も実施して九カ月余り停止し、十二月二十六日の発電再開を目指す。他の原発でも特重施設の工事が遅れており、川内2号機が五月二十日、関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)は八月二日、高浜4号機も十月七日にそれぞれ停止予定だ。
 特重施設は、航空機を原子炉建屋に衝突させるようなテロ攻撃を受けた場合でも、放射性物質が漏れる重大事故につながらないようにするのが狙い。離れた場所に冷却ポンプや非常用電源などを備える。東京電力福島第一原発事故を踏まえた二〇一三年施行の新規制基準で設置を義務付けた。
 川内原発の敷地入り口のゲート前では十六日午前、反原発団体「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」のメンバーが「原発テロ対策と言えるのは廃炉だけ!」と記した横断幕を掲げた。高木章次代表は「私たちはこのまま(原発を)廃炉にすることを求める」と訴えた。

<川内原発> 鹿児島県薩摩川内市にある九州電力の加圧水型軽水炉。1号機は1984年7月、2号機は85年11月にそれぞれ営業運転を始めた。出力は各89万キロワット。2011年の東京電力福島第一原発事故を受けて運転を停止したが、14年9月に新規制基準の適合性審査に全国の原発で初めて合格し、15年8月に1号機が、15年10月に2号機がそれぞれ再稼働した。
KEY_WORD:SENDAI_:FUKU1_:TAKAHAMA_: