[2020_10_09_01]最終処分、地元不安根強く 難題山積の原子力政策(時事通信2020年10月9日)
 
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最終処分、地元不安根強く 難題山積の原子力政策

 北海道の寿都町と神恵内村が9日までに、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定調査の受け入れを相次いで決めた。
 長年停滞してきた選定プロセスがついに動きだした形だが、地元の不安は根強い。さらに、東京電力福島第1原発から出る処理水や原発再稼働など原子力政策には難題が山積している。
 最終処分地は住民の同意に加え、地層の安定性の確認といった条件を満たす必要があり、二つの候補地だけから選ぶのは困難だ。
 片岡春雄寿都町長は9日、諸外国では十数地域が立候補する中で絞り込みを進めていると指摘した上で「最低でも10カ所は手を挙げてほしい」と訴えた。経済産業省によれば2町村以外にも関心を示す自治体は複数あるが、住民感情を考えると受け入れに結び付く保証はない。
 一方、東電福島第1原発の処理水を保管するタンクは2022年秋ごろに満杯になる見通し。政府は年内にも処分方法を決める意向だ。ただ、有力な選択肢の一つである海洋放出には、風評被害への懸念から「絶対反対」(全国漁業協同組合連合会の岸宏会長)と反発が強い。
 原発の再稼働も遅れている。政府のエネルギー基本計画に沿って30年度の電源構成の原発割合を少なくとも20%とするには、30基程度の稼働が必要とされる。しかし、東日本大震災から9年半が経過しても、再稼働した原発は9基にとどまる。
 関西電力は美浜原発3号機(福井県美浜町)を来年1月にも再稼働させる計画を示しているが、地元の同意は得られていない。ある大手電力幹部は「(福島第1事故で失った)原子力への理解や信頼は回復していない」と話す。 
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