[2017_08_22_03]福島第1 遮水壁凍結完了へ 汚染水根本解決遠のく(東奥日報2017年8月22日)
 
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 東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水対策の「切り札」として国費約350億円が投じられた凍土遮水壁が、凍結開始から約1年5カ月を経て全面運用に入る。ただ期待通りの性能を発揮したとしても、汚染水の増加を食い止めることはできず、根本解決のめどは立たない。
 凍土壁は、地下水を汚染源に近づけないことを狙った対策だ。事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の冷却を通じて発生した高濃度汚染水がたまる原子炉建屋などの地下には当初、1日当たリ400トンの地下水が流入して新たな汚染水になっていた。さまざまな対策を組み合わせて流入量は130トン程度に減った。
 しかし凍土壁が完成しても建屋への流入を完全に遮るのは難しく、毎日100トン程度の汚染水が新たに発生し続けるとみられる。
 さらに、発生した汚染水を浄化しても、放射性物質のトリチウムを除去できない問題に直面する。現在は敷地内のタンクにため続けているが、いずれ限界が来る。通常の原発ではトリチウム水を希釈して海に放出しているが、福島第1原発の場合、風評被害への懸念から地元の反発もあり、放出の見通しは立たないままだ。(共同通信・長尾匡倫)
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