【記事78140】東海第二、営業運転40年 元技術者 延長に警鐘(東京新聞2018年11月26日)
 
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東海第二、営業運転40年 元技術者 延長に警鐘

 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発は二十八日、営業運転を始めてから四十年になる。原子力規制委員会は七日、設備に問題はないとして最長二十年の運転延長を認めたが、四十年前に東海第二の建設工事に関わった元技術者は「四十年で金属疲労も大きいはずで、運転延長してよいのか」と警鐘を鳴らす。 (越田普之)
 元技術者は菊地洋一さん(77)=宮崎県木城町。一九六一年、日本大学短期大学部建築科を卒業し、建築コンサルタントを経て七三年から約七年間、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の関連会社に勤務した。七八年に運転を始めた東海第二や東京電力福島第一原発6号機の建設の工程管理に当たった。
 菊地さんは東海第二での仕事について「設計変更や計算忘れは日常茶飯事。現場で場当たり的に対応していた」と振り返る。二〇三八年までの運転延長には、「どこが危険かなんて言い出したら、きりがない。よく四十年も運転してきたと思うくらいだ」と説く。
 特に問題視するのが、原子炉につながる配管の付け根部分だ。原子炉が熱で伸縮すると、配管も原子炉の動きに合わせて上下する。金属疲労や検査の難しさを念頭に「通常運転で壊れる可能性がある。どんな複雑な力がかかるか分からない地震なら、なおさらだ」と話す。また、「スカート」と呼ばれる原子炉を支える部分について「スカートはごく薄く、直下型地震で突然、破断する恐れがある」と指摘した。
 一方、原電は延長申請時の特別点検の結果などから、原子炉や配管などの設備が六十年の使用に耐えうると主張。規制委に大きい異論はなく、更田豊志(ふけたとよし)委員長も延長決定後の記者会見で「強度に十分な余裕がある」と、老朽化の懸念を打ち消す。
 菊地さんは東京電力福島第一原発事故があった一一年、現場経験を基にした著書「原発をつくった私が、原発に反対する理由」(角川書店)を出版した。
 「現場を見て『いつか事故が起きる』という思いがいつも心にあった。東海第二は東京に近く、周辺人口も多い。事故があれば想像を絶する被害になる。東日本大震災で被災した東海第二が福島第一のようにならなかったのは運が良かっただけだ」

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