【記事66110】「東海第二」笠間市の避難計画 「市民の健康守れるのか」(東京新聞2018年2月23日)
 
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「東海第二」笠間市の避難計画 「市民の健康守れるのか」

 東海村の日本原子力発電東海第二原発で放射能が漏れる深刻な事故に備え、笠間市が作った避難計画について、住民説明会が市内で始まった。参加した住民は「気象条件は想定しているのか」「市民の健康を本当に守れるのか」などと計画を不安視していた。(山下葉月)
 市の計画によると、避難は全市民約八万人のうち、原発三十キロ圏に住む約三万六千人が対象。三十六の地区単位で移動し、市内八カ所に定めた一時集合場所へ向かう。その後、栃木県の小山市などの五市町に原則マイカーで避難する。
 市は、避難計画の策定が義務付けられる原発三十キロ圏の十四市町村のうち、最も早く作り上げた。だが、地震などの複合災害を想定していないほか、避難時に重要になる住民の汚染検査の場所も示していない。
 初回の説明会は二十一日夜、友部公民館で開かれ、約六十人が出席した。質疑で、ある男性は「計画に実効性があるかが重要だが、雪などの気象条件は想定しているのか」と問い掛けた。市側は「国や県がさまざまな角度で考えているので、そういう結果を見ながら、市の対応も充実させる」と回答した。
 別の男性は東京電力福島第一原発事故に触れ、「本当に福島の教訓を生かした計画なのか。空間放射線量が低かったとしても、渋滞などで待機時間が長ければどうなるのか。市民の健康を本当に守れるのか」と批判を交えて質問。これに対し、市側は「できるだけ短い待機時間になるよう検討する」と説明した。
 会場では、住民に避難所までのルートを示したマップも配られた。市は二十三日まで計三回、同じ会場で説明会を開く。

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