戻る <<前 【記事55660】余震の性質(気象庁2016年5月22日) 戻る
KEY_WORD:熊本地震:
 
参照元
余震の性質


余震の性質

余震とは何ですか?

 比較的大きな地震が発生すると、その近くで最初の地震より小さな地震が続発します。この最初の大きな地震を本震、その後に引き続き起こる地震を余震といいます。 また、このような地震活動のパターンを「本震−余震型」といいます(注)。
 震源が浅い大きな地震は、ほとんどの場合、余震を伴います。

注:地震活動のパターンには「本震−余震型」の他に、「群発型」があります。「群発型」は、目立って大きな地震はないものの、地震活動が激しくなったり穏やかになったりしながら、一定期間続くというパターンです。

 下の図1から図3は、平成16年(2004年)新潟県中越地震の本震と余震を示したものです。

(ここに図があるが省略)
図1 平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震活動(広域図)

2004年10月23日から2005年4月22日までに発生した地震の震央を示している。○の大きさは地震の規模(マグニチュード)の違いを示す。
中央の四角い枠の中で多くの地震(余震)が起こっているのが分かる。

(ここに図があるが省略)
図2 平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震活動

左の図(震央分布図)は、図1の四角い枠内で発生した余震の震央の分布を示している。余震はある一定の広がりの中(余震域)で発生しているのが分かる。
右の図(地震活動経過図)は、横軸が時間、縦軸が地震の規模(マグニチュード)を示し、個々の縦の棒を見ると、いつどれほどの規模の地震が発生したかが分かる。
また、積算回数を示す線が描かれている。線の傾きは時間とともに徐々に小さくなっており、余震の発生回数が時間とともに減っていくのが分かる。


(ここに図があるが省略)
図3 平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震活動の推移

2004年10月23日から2005年4月22日までに、図2と同じ範囲で発生した余震をアニメーションで表示した。アニメーション中、ひとつ前の画面で示した時刻以降に発生した地震を赤で示している。
本震発生直後には余震活動が活発であり、活動が徐々に収まっていく様子が分かる。

余震域とは何ですか?

余震の起きる場所を余震域といいます。
本震発生後から1日程度までの余震域は、本震で破壊された領域(震源域)とおおむね一致しますが、余震域はその後だんだんと広がっていく場合があります。
例として、平成16年(2004年)新潟県中越地震における余震域はこのページの図2を、余震域が広がる様子は図3をご覧ください。

なぜ余震が発生するのですか?

本震の発生により岩盤が不安定な状態になり、それを解消するために余震が発生すると考えられています。

余震にはどのような性質がありますか?

余震には次のような性質があります。

[1]余震の数は本震直後に多く、時間とともに次第に少なくなっていきます。
10日目に1日目の約10分の1に減り、100日目には約100分の1になります。
減衰の仕方は、本震直後は急激ですが、徐々に緩やかになります。
本震から10日後には直後の10分の1ですが、その後10日経過しても、その2分の1にしかなりません。余震がいつまでも続くといった印象を持つのはこのためです。
また、本震のマグニチュードが大きいと、余震が収まるまでの期間が、一般的には長くなります。

[2]規模が大きい余震は少なく、規模が小さい余震は多く発生します。
マグニチュードが1つ大きくなるごとに、余震の起きる回数が約10分の1になります。

[3]最大余震(注)のマグニチュードは、平均すると本震のマグニチュードより1程度小さくなります。
(注) 余震の中で一番大きなものを最大余震といいます。
本震のマグニチュードとあまり変わらないマグニチュードの余震が起きることもあれば、最大余震のマグニチュードが本震よりかなり小さくなることもあります。平均すると、最大余震のマグニチュードは本震よりも1程度小さくなります。
一般的には最大余震の震度は本震の震度より1階級小さくなると言われています。たとえば本震で震度6弱の揺れだった場合、最大余震では震度5強程度になると予想されます。
しかし、最大余震の規模や発生場所によっては、本震と同じ程度の揺れとなる場合もあります([6]参照)。

[4]最大余震は多くの場合、内陸では本震から約3日以内に発生しています。海域ではこれより長く、約10日以内に発生しています。
平成7年(1995年)兵庫県南部地震では2時間後、平成16年(2004年)新潟県中越地震では38分後、平成6年(1994年)三陸はるか沖地震では9.5日後でした。

[5]大きな余震は余震域の端の周辺で起きやすい傾向があります。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震では、余震域の南端付近(茨城県沖)でマグニチュード7.6の最大余震が、北端付近(岩手県沖)でマグニチュード7.4の大きな余震が発生しました。

[6]大きな余震による揺れは、場所によっては本震の揺れと同じ程度になることがあります。
1997年3月26日の鹿児島県薩摩地方の地震(マグニチュード6.6)では、4月3日に最大余震(マグニチュード5.7)が発生、同県川内市では、ともに震度5強の揺れとなりました。また、平成15年(2003年)十勝沖地震(マグニチュード8.0)では、約1時間後に最大余震(マグニチュード7.1)が発生、浦河町ではともに震度6弱の揺れとなりました。
これは本震と比べて余震の方がより近い場所で起きたためです。

参考文献:
 「大地震のあと、余震はどうなるか」地震調査研究推進本部
  http://www.jishin.go.jp/main/yoshin3/eqyoshinfrm.htm

戻る <<前 【記事55660】余震の性質(気象庁2016年5月22日) 戻る