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参照元
気象庁震度階級_計測震度と加速度・速度_震度と加速度の目安

※引用者注:震度と加速度の目安の表の原典は国立天文台編『理科年表 平成3年版』1991年である。


 河角広は、過去の地震の震度と最大加速度(表面最大加速度)に規則性を見出し、その関係を「河角の式」としてまとめている。古い理科年表には、参考として河角の式に基づく加速度が記載されていた(右図参照)。河角(1943)によると、式は以下の通り[25]。

I = 2 log a + 0.7
I:気象庁震度階級。四捨五入として整数とする。5.5以上はすべて震度6とする。
a:最大加速度(gal)。

 このほか、最大速度(表面最大速度)との相関性もあり、例えば地震調査研究推進本部 地震調査委員会の報告「全国を概観した地震動予測地図」では翠川ら(1999)による最大速度から震度への換算式を表層地盤増幅率の分布などと組み合わせて推定震度を算出している[26]。

 震度と加速度との対応関係は単純ではない。地震動の周期の違いが体感の差異を生むからである。周期1秒前後の地震動は人に敏感に感じられるが、長い数秒周期や短い0.X秒周期の地震動は、同じ加速度の周期1秒前後の地震動に比べて弱く感じられる傾向にある。河角の式は加速度記録を基にした震度の推定に用いられたが、地震動の周期の違いによる体感の差異を反映していなかった。計測震度導入の検討の際には、河角の式が基本式として用いられたものの、地震動の振幅や周期、継続時間なども計算式に追加され、周期の違いを震度に反映できるよう改良したものが採用された[23]。

 ただ、参考ではあるが、地震の波形を、一定の振幅で一定の周波数で数秒間継続すると仮定すれば、震度と加速度の対応関係を考えることができる。この仮定に従えば、周期とgal、震度の関係は下記の様になる。

周期1秒の場合:約0.6gal以上で震度1、約60gal以上で震度5弱、約320gal以上で震度6弱、約600gal以上で震度7
周期10秒の場合:約2gal以上で震度1、約200gal以上で震度5弱、約1100gal以上で震度6弱、約2000gal以上で震度7
周期が0.1秒の場合:約2.6gal以上で震度1、約250gal以上で震度5弱、約1400gal以上で震度6弱、約2600gal以上で震度7

 気象庁の震度と加速度のグラフから分かるように、周期約1.5秒のところが、各震度の必要加速度が最も小さく、敏感に反映されるようになっている。また、震度は加速度に対して非線形の関係になっている。これは、被害と計測震度がちょうどよい具合に対応するように調整された結果である。

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