[2012_12_14_01]膨潤「疑問」「あり得る」 東通原発調査 規制委 評価割れる 「見解聞いていない」東北電(東奥日報2012年12月14日)
 
 13日に東北電力東通原発で始まった、原子力規制委員会の現地調査。敷地内の地層の「ずれ」や「たわみ」を目の当たりにした島崎邦彦委員長代理は「恐らく活断層に関連したもの」と言及した。ただ、東北電力が、地層が水を吸って膨張する「膨潤」作用だと説明していることについては、否定的な意見がある一方、「何らかの関与はあり得る」などと発言するメンバーもおり、評価は割れた。14日も続行される調査に、関係者の注目が集まっている。
 13日の調査終了後の記者会見。東北電力の主張に関して、委員からは「膨潤という考え方には賛成しない」(島崎委員長代理)、「膨潤を考えなければならない根拠が分からない」(佐藤比呂志東大教授)、「いろいろ疑問がある」(熊木洋太専修大教授)などの意見が相次いだ。
 一方で、産業技術総合研究所の粟田泰夫主任研究員は「膨潤が何らかの関与をしていることはあり得る」と発言。ただ、「膨潤だけでは時期の特定、断層の動きを説明できない。膨潤に加え、恐らく活断層など何らかの動きが絡んだ結果」との見方を示した。
 千葉大の金田平太郎准教授は「膨潤を全くあり得ないと思っているわけではない。膨潤、活断層のどちらを考えてもつじつまが合わないところがある」と慎重に語った。
   (本紙取材班)

 「見解聞いていない」 東北電

 「先生方から直接見解を聞いていない」−。東北電力の梅田健夫副社長は13日、原子力規制委員会の調査団が東通原発内で記者会見を終えた後、同じ会場に入れ替わりで会見。東通原発敷地内の断層をめぐり、硬い表情で慎重な受け答えに終始した。
 梅田副社長は、規制委の島崎邦彦委員長代理が、活断層の可能性に言及したことに対して「これまでも敷地内の断層は活動性がなく、耐震評価上の問題になるものではないと言ってきた」「明日(14日)の調査を踏まえた上で対応を考えたい」などと述べるにとどめた。
 「(調査団の)先生方には非常に熱心に見ていただいた。知見、経験を踏まえて判断いただけるのでは」と議論を見守る姿勢を強調。その一方で、同社が主張する「膨潤作用」について、調査団メンバーの中から、否定的な意見があったことについて「(会見前に調査団と)ミーティングをしたが、膨潤の解釈に特段話はなかった。われわれへの質問はなかった」と戸惑いものぞかせた。
 梅田副社長によると、14日の調査に際して調査団メンバーからは、原子炉設置許可に関する安全審査のデータなどを求められたという。(本紙取材班)
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