[2018_03_12_02]洋上風力発電 促進法案提出、普及へ一歩 「送電網」など課題(東京新聞2018年3月12日)
 
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洋上風力発電 促進法案提出、普及へ一歩 「送電網」など課題

 政府は、洋上風力発電の整備を促す新法案を国会に提出した。今国会での成立を目指している。地元自治体や漁協など利害関係者が参加する協議会の意見を聞いた上で「促進区域」を指定し、風車設置の許可年数を全国一律に最大三十年間に延長するのが柱。専門家は普及に向けた第一歩と評価する一方、政府の目標が不十分との指摘もある。
 海に囲まれた日本は洋上風力発電の適地が多いが、まだ生かされていない。内閣府によると、二〇一六年末で欧州は約三千六百基が実用段階にあるが、日本は実証試験段階が六基。売電しているのは一基のみだ。
 洋上風力の普及が進まないのは、統一的ルールがないことが一因。事業者が長期的な計画を作りにくく、資金集めが難しいという問題があった。法案では、最長三十年間、事業者が指定海域を事業に使用できる。
 普及が進むスウェーデンでエネルギー庁長官を務めた自然エネルギー財団(東京都)のトーマス・コーベリエル理事長は、法案について「開発認可における不確実さが減る。重要な進展だ」と評価。一方で「最も重要なのは、事業者が送電網に接続できるようにすること」と指摘する。
 事業者の間では、発電しても、電力会社の送電網に空き容量が不足するなど、送電網への接続に懸念がある。法案は、送電網の接続を保証するものではない。政府は送電網の増強や有効活用策を検討中だ。
 政府は風力発電の規模について、三〇年には一六年の約三倍の一千万キロワットに拡大する目標を掲げる。うち洋上風力は八十二万キロワット(現在は二万キロワット)だが、環境アセスメント手続き中が約四百三十万キロワットあり、目標が低めであることは否めない。同財団の大林ミカ事業局長は「洋上風力を広げていく意思を示すため、目標の見直しは絶対に必要」と話す。 (清水俊介)

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