[2018_04_05_02]六ケ所再処理工場・審査再開へ トラブル続けば「致命的」 規制委 原燃に厳しい指摘 知事「着実な前進望む」(東奥日報2018年4月5日)
 
 原子力規制委員会が日本原燃六ヶ所再処理工場の安全審査再開を了承した4日の定例会合は、更田豊志委員長が「もしトラブルが繰り返されれば、原燃の事業にとって致命的になる」と述べるなど、委員から厳しい指摘が相次いだ。                  (佐々木大輔)

 審査は安全管理上のトラブルで半年ほど中断していた。原燃の工藤健二社長らは同日午前の定例会合で、全ての設備や機器の状態を確認する「全数把握活動」をはじめ安全性の改善について報告し「全数把握でもたらされた(現場の)意識変化がこれまでと違う大きな部分」と強調した。これに対し、規制委の委員からは「一向にトラブルがなくならず非常に残念」「組織が変わることは簡単ではないので腹をくくってやってほしい」などの注文や意見が出た。
 更田委員長はトラブルについて「建設以来、見たことのない空間があるなど、規制以前の問題を含んでいる」と指摘。「初歩的や怠慢、基本的な理解の誤りによるトラブルがもし繰り返されれば、原燃の事業にとって致命的なことになる」とくぎを刺した。
 会合で規制委は審査再開を了承したが、午後の会見で更田委員長は「あきれてしまうようなトラブルを起こさないことは大事だが、審査はQMS(品質マネジメントシステム)がきちんと構築されているかどうかや、自然ハザードに関する新たな要求や評価についても見ていく」と述べた。
 工藤社長は会合後、報道陣に「厳しい指摘をしっかり受け止め、改善活動を加速し高めていく」と語った。
 再処理工場は今後、再開される審査に合格すれば、新規制基準に対応するための安全対策工事や使用前検査での合格(完工)、地元との安全協定締結などの段階を経て操業となる。原燃は昨年末、完工の目標を3年延長し2021年度上期に変更している。

 知事「着実な前進望む」

 原子力規制委員会が4日、日本原燃の六ヶ所再処理工場の安全審査再開を了承したことを受け、三村申吾知事は同日の定例会見で「スケジュールありきではないが(完工の延期)3年という目標に対して、安全を念頭に置きながら着実に前進していくことを望む」と述べた。
 さらに「(原燃の)社員だけでなく施工業者など関連する方々も含めて、しっかりとした安全の下にこそ原子力の関連施設は成り立つということをもう一度原点に立ち返って決意していただきたい」と求めた。
 一方、六ケ所村の戸田衛村長は取材に「再処理事業は何よりも安全確保が大前提。(原燃は)安全審査に的確に、迅速に対応してほしい」と語った。
 昨年、原燃で安全管理上のトラブルが相次いだことについては「トラブル発生後に取り組んできた全設備点検などの改善活動や体制づくりにも引き続き全力を尽くしてほしい」と注文を付けた。
   (本紙取材班)
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