[2019_01_14_02]被曝分析論文、撤回不可避に 福島・伊達市の住民調査(日本経済新聞2019年1月14日)
 
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被曝分析論文、撤回不可避に 福島・伊達市の住民調査

 東京電力福島第1原子力発電所事故後、福島県伊達市の住民の個人被曝(ひばく)線量を分析した論文に本人の同意が得られていないデータが使われていた問題で、市が著者の早野龍五東京大名誉教授らに再解析に必要なデータを提供しない方針であることが14日、分かった。早野氏らは同意が得られている分で再解析し論文を修正する考えだったが、データが得られないため論文の撤回が避けられない状況となった。
 市の担当者は共同通信の取材に対し「住民の信頼を得られる見込みがないため、データを再提供する考えはない」と回答。早野氏は「市から正式な通知が来ていないので、見解は差し控える」としている。
 論文は宮崎真福島県立医大講師との共著で、英専門誌「ジャーナル・オブ・レディオロジカル・プロテクション」に2016年12月と17年7月の2回に分けて掲載された。「ガラスバッジ」と呼ばれる個人線量計で市民を対象に11〜15年に測定した外部被曝線量を分析し、空間線量や人が生涯に浴びる放射線量との関係を調べている。論文の基になったデータは、15年に伊達市が提供、早野氏らは解析後、廃棄したとしている。
 専門家から論文に対する指摘を受け、早野氏らは「生涯被曝線量に関し、累積線量を3分の1に評価する誤りがあった」として昨年11月に専門誌に修正を求めた。また、市の人口の約9割に当たる約5万9千人のデータが使用されたが、約2万7千人分は研究への使用について同意が得られていないことが判明した。〔共同〕

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