[2019_01_26_07]元准教授、東日本大震災も不正か 熊本地震で捏造指摘(中国新聞2019年1月26日)
 
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元准教授、東日本大震災も不正か 熊本地震で捏造指摘

 2016年の熊本地震で、現地で観測したとしていた震度7の記録を捏造と指摘された後に退職した元大阪大准教授が、11年の東日本大震災などでも不正をしていた疑いがあることが26日、関係者への取材で分かった。
 元准教授らは16年4月16日未明にあった震度7の揺れを、震源に近い熊本県益城町内に設置した地震計で観測したと発表。大きな注目を集めたが、元准教授が所属する土木学会などに不正の告発があり、17年10月に阪大が調査を開始。元准教授は間もなく退職した。
 熊本地震では、別の機関が公表した観測記録を加工、流用した疑いが出ていた。他の地震でも同様の手法を用いた可能性があり、以前から観測記録を不適切に扱っていた可能性が強まった。
 新たに不正の疑いが強いとされるのは東日本大震災での藤沼ダム(福島県須賀川市)や、熊本地震での阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)の揺れの記録。大地震後の余震を元准教授らが観測し、共同執筆の論文に引用された。
 観測できなかった大地震の揺れを、その後の余震の記録から推定する内容。元准教授の記録が、離れた場所に機器を置いていた防災科学技術研究所のものと似ており、同分野の研究者らは加工、流用の疑いを指摘する。
 内部調査中の阪大も、こうした問題を把握しているとみられるが「取材には応じない」とコメント。元准教授には取材を依頼したが回答を得られなかった。
 仮に不正があった場合、問題のある記録が構造物の設計や安全確認に利用されていると、影響が出る可能性はある。ただし、ある研究者は「余震の記録は最初に疑惑が指摘された本震の記録ほどは注目されないので、実害はそれほど心配ないのではないか」と話す。
 ほかにも新潟県中越沖地震(07年)、長野県北部の地震(14年)を扱った論文など20件近くに関与。記録の信用性に疑問が生じている。
2019年1月26日 19:28
記事提供:共同通信

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