[2019_02_22_03]岐阜新聞コラム_分水嶺(岐阜新聞2019年2月22日)
 
参照元
岐阜新聞コラム_分水嶺

 瑞浪市(岐阜県)の瑞浪深地層研究所にある地下坑道を埋め戻す動きが進む。核のごみの地層処分に関わる研究を担う巨大な坑道。
 埋め戻しは研究所の存在がごみ処分場建設につながるのではという不安を和らげる
 深さが500mある坑道を持つ日本原子力研究開発機構の同研究所は市有地に立つ。用地の賃貸借契約期限は2022年1月。研究所は期限までの埋め戻しを表明し、市と返還の協議を始めた。
 水野光二瑞浪市長の意向は明快だ。期限までに施設も取り払い更地で返還、期限以降に研究が続くことはない、撤去後の経過観察の実行。加えて早期の工程公表。
 研究所は19年度の早い時期に工程を示す考え。所管する国は新年度予算案に埋め戻し関連予算を要求、同機構の研究の目標や計画を改定する構えだ。
 以前は研究所跡に地底探検エレベーターや地質科学館を造る構想が描かれた。しかし市民の懸念は大きかった。市長は民意をくみ、県も後押しをした。地元には心強い支えだ。
 市と研究所が坑道の埋め戻しを公に確認した会合には市民も訪れて説明に聞き入った。国による核のごみ処分場建設は前途遼遠だ。研究所の撤去とともに核のごみの行方にも目を配りたい。
             (2月22日「岐阜新聞」〔分水嶺〕より)

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