[2019_03_06_01]「廃炉の完了」の勝負どころ、まだまだ…原子力規制委員長の一問一答 福島原発事故8年(毎日新聞2019年3月6日)
 
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「廃炉の完了」の勝負どころ、まだまだ…原子力規制委員長の一問一答 福島原発事故8年

 2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故から、間もなく8年。事故を受けて発足した原子力規制委員会のトップ、更田豊志委員長が、6日行われた記者会見で思いや廃炉作業の現状などを語った。【岩間理紀】

 Q 福島第1原発事故から間もなく8年になる。所感を。
 A 率直に言えば、この8年がとても短く感じられる。さまざまなことがあった一方で、私たちが行っている原子力規制に関しては「なかなか変わらない部分」にずっといらだちに似たものを持って仕事をしてきたようにも思う。
 本当に事故の反省が十分か。福島事故前の規制の動きと比べると革命的な変化があったが、それで足りているという感触を持とうとも思わないし、持てないでいるのが非常に正直なところ。

 Q 規制委や事務を担当する原子力規制庁の、内部の変化をどう感じるか。
 A 規制庁は政府組織で官僚機構の一つではあるが、この8年間、「上司の判断でも納得しなければ声を上げろ」「おかしければ声を上げねばならない」と内部で言ってきた。まだまだ私たちは自分自身を変えようと闘っているし、同じように安全に一義的責任を持つ(原発を運営する電力会社などの)事業者の中でも、ひとりひとりが「理解」を他人任せにしないで、判断と意見を持つことが、安全、セキュリティーなどを考える上で非常に重要だ。

 Q 長期にわたる廃炉作業の現状をどう受け止めるか。
 A 目の前の問題に精いっぱいな時期を離れて、作業に関する一定の計画も立てる時期に移行したのは事実。一方で、「闘う」対象がだんだん難しくなってきている。(廃炉の最難関とされる)格納容器内の燃料デブリ(溶け落ちた燃料)の除去はまだ序盤戦で全容も見えていない。廃炉の完了という視点から言えば、勝負どころはまだまだこれから。
 一方で、例えば福島第1原発周辺の住民に、再び避難をお願いするようなリスクは限りなく小さくなっている。陸側で言えば、廃炉作業が環境を今まで以上に汚してしまう原因になる可能性は極めて小さい。海洋に対しては、汚染された液体を扱う以上、リスクは無視できるほど小さいとは言えず、数年は緊張感を持って取り組む必要がある。
 (加えて)廃炉作業に従事する作業員をどう守るのかは、これまで以上に大きな問題になってくる。これから廃炉を進める上で、放射線防護は極めて重要だ。

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