[2019_03_17_01]大浦湾の工事が不可能なもう一つの理由が明らかになった --- 軟弱地盤のためにケーソンを仮置きする海上作業ヤードが造成できない!(チョイさんの沖縄日記2019年3月17日)
 
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大浦湾の工事が不可能なもう一つの理由が明らかになった --- 軟弱地盤のためにケーソンを仮置きする海上作業ヤードが造成できない!

 15日(金)に防衛省が、今まで行政不服審査請求の審査中だとして公開を拒否していた辺野古新基地建設事業に係る土質調査の報告書や設計施工の検討書などをやっと国会に提出した。31件、1万頁にもなる膨大な資料なので、詳細な検討には時間がかかるが、大まかな問題点については、昨日のブログにもまとめたので参照されたい。
 そこでも書いたが、辺野古新基地建設事業が不可能となる新たな事実が見つかったので、再度、指摘したい。
 今回の防衛局の検討報告書では、大浦湾の護岸部、埋立部の73haで地盤改良工事を実施するとしている。ところが、防衛省が一昨日に出したボーリング調査の報告書を見ると、とんでもない事実が見つかった。埋立区域の外側にある海上作業ヤードの予定地でもN値ゼロという超軟弱地盤が広がっているのである。
 今回の事業では、大浦湾に設置予定の38個のケーソンを仮置きするために、大浦湾の中央部・瀬嵩沖に3箇所の海上ヤードを造成することが予定されていた。海底に大量の石材を投下し、285m×60m、172m×45m、119m×40mもの巨大なマウンド(台座)が、それぞれ水深-17m、-10m、-6mのところに造られる。大型ケーソンは長さ52m、奥行22m、高さ24mもの巨大なもので、本土で造られ、海を曳航して沖縄に運んでくる。すぐに設置できないので、いったん仮置きするための海上ヤードが必要とされていた。
 今回、公開された、「シュワブ(H26)土質調査業務(1工区)」では、海上ヤード地点でもボーリング調査が行われている。下の図のBK-1からBK-4の4地点だ。その土質柱状図を見ると、4地点ともN値ゼロという超軟弱地盤が広がっていたのだ。

【図ー1.1.1 調査位置平面図】

 BK-1 海底から37m下まで谷埋堆積物  7地点でN値ゼロ、10地点でN値1
BK-2 海底から31m下まで谷埋堆積物  4地点でN値ゼロ、5地点でN値1
BK-3 海底から37m下まで谷埋堆積物  26地点でN値ゼロ、2地点でN値1
 BK-4 海底から12m下まで谷埋堆積物  8地点でN値ゼロ

(上記は、今回、公開された「シュワブ(H26)ケーソン新設工事(1工区)」の「確認ボーリング報告 土質調査」の「ボーリング柱状図」より)

 これは昨年から問題となったケーソン護岸部下の軟弱地盤よりもさらに深刻だ。大量の石材を積み上げ、大型ケーソンを仮置きするための海上ヤードの設置は不可能であることはいうまでもない。

【ボーリング注状図】

(BK-3の土質柱状図)
 海上作業ヤードについては、以前の公文書公開請求で、2017年初め「取り止め」となったことが判明し、大きな問題となったことがある(本ブログ 2017.8.9参照)。
 この海上作業ヤードの取り止めの理由は当時、分からなかったのだが、このような軟弱地盤のせいだったのだ。
 大型ケーソンは本土で制作し、海上を大浦湾まで曳航してくるが、すぐに設置できないので、いったん海上作業ヤードに仮置きしなければならない。ところが、その予定地は超軟弱地盤であるため、基礎の台座を造ることも難しいし、巨大な大型ケーソンを置けば、転倒、沈下してしまう。このままではケーソン護岸の施工はできない。
 今回の地盤改良工事の範囲には、海上作業ヤード部分は含まれていない。そもそも海上作業ヤードは、環境保護の面から、工事終了後、撤去するとされていた(環境保全図書2-100)。そのような個所で地盤改良工事をすることはできない。現状では、海上作業ヤード造成は不可能である。
 この面からも、辺野古新基地建設事業は頓挫するのだ。

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