[2019_03_20_06]除染土再利用へ手引き案 環境省示す 実現に疑問の声も(福島民報2019年3月20日)
 
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除染土再利用へ手引き案 環境省示す 実現に疑問の声も

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染土壌の最終処分量削減に向け、環境省は十九日、関係省庁や県、市町村などに除染土壌の再生利用を促す手引き案をまとめ、減容・再生利用技術開発戦略検討会で示した。再生利用の対象は県内で発生した除染土壌に限定し、公共事業などでの土木資材としての活用を明記した。一方で委員からは、再生利用の実現可能性を疑問視する声も上がった。
 手引き案によると、環境省は再生資材化の実施者として、再生資材を保管・運搬する際の記録を作成し、管理する。災害時に再生資材が流出した場合には対応主体となる。
 関係省庁や県、市町村などは再生資材の利用者・管理者として、地形や地質、気象などを勘案し放射線防護上の安全性を確保できる設置場所を選定する。施工の記録を作成、管理し、環境省などと情報を共有する。再生利用した施設の維持管理などを担う。
 検討会で油井三和委員(福島高専特命教授)は、県内で発生する除染土壌の県外最終処分などに関する経済的試算を示し「当初の二千二百万立方メートルなら約三十兆円、見直し後の千四百万立方メートルなら二十兆円とされている。経済性評価を示し再生利用が現実的な解決策として理解を得るべきだ」と指摘。帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域の整備に除染土壌を利用するなどしない限り、再生利用は進まないとの考えを示した。別の委員は「公共工事となれば民間事業者が再生資材を利用することになる」として、時期や手順が曖昧だと指摘した。
 環境省は最終処分場の規模を小さくすることで県外処分に道筋を付けたい考えで、除染土壌の減容化と再生利用による県外での最終処分量の削減を目指している。今回の検討会での指摘を踏まえ、三月末までに手引き案を修正するとしている。

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