[2019_03_21_01]<福島県津波浸水想定>復興まちづくりに影響も(河北新報2019年3月21日)
 
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<福島県津波浸水想定>復興まちづくりに影響も

 福島県が20日、最大級の津波による浸水想定を公表したことを受け、東日本大震災で被災した沿岸自治体は避難対策の強化を図る見通しだ。東京電力福島第1原発事故で住民が避難した区域では、浸水想定域で進む復興事業もあり、丁寧な説明が必要になる。
 広野町は町域の2.8%が浸水区域と想定された。町が復興拠点に位置付けるJR広野駅東側は、防災緑地(高さ10.7メートル)が整備されたものの一部が浸水する。地元行政区長の根本賢仁さん(72)は「避難の意識を常に持とうと改めて感じた」と語った。
 町は2014年から津波避難訓練を続ける。今回の想定を踏まえ、町は「ハザードマップを策定するとともに津波避難場所を増やしたい」と説明した。
 独自想定で既にハザードマップを策定済みの自治体もある。14年に作った南相馬市の担当者は「県の想定に照らして見直しを進めざるを得ない」と話した。
 今回の想定は多くの復興まちづくりの前提と異なっている。原発事故で全町避難する双葉町は、放射線量が比較的低い北東部の津波被災地域で産業団地などの拠点整備を本格化させたばかり。前提にした浸水想定域は海岸堤防整備などで震災時より狭まったが、堤防倒壊など最悪の条件を加える今回は浸水範囲が逆に広がった。
 町は今回の想定を「人命に関わるリスク情報」と強調。「見直しを進める地域防災計画での住民の避難計画に反映させ、減災につなげる」と説明した。
 浪江町の想定域も図のように震災時より広がり、新たに整備された災害公営住宅なども浸水範囲に含まれた。総務課は「地域防災計画やハザードマップ、避難所、避難経路などを見直し、住民への周知を徹底する。防災行政無線の設備強化などの対策にも取り組む」とコメントを出した。

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