[2019_03_21_03]17年の韓国地震、地熱発電注水が触発 政府チーム見解 国費18億円、メディア「人災」(西日本新聞2019年3月21日)
 
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17年の韓国地震、地熱発電注水が触発 政府チーム見解 国費18億円、メディア「人災」

【ソウル池田郷】2017年11月に韓国南東部、浦項(ポハン)で起きたマグニチュード(M)5・4の地震について、韓国政府の調査研究チームは20日、震源地に近い地熱発電所で発電のため地下に高圧で注入した水が断層を刺激して発生したとの見解を発表した。同発電所は政府が国費185億ウォン(約18億円)を投入した官民事業で、韓国メディアは「天災ではなく人災」と批判している。
 浦項地震は韓国の観測史上2番目の規模だった。中央日報によると、被災した建物などは約2万7千件に上り、被災者が損害賠償を求めて政府などを相手に相次ぎ訴訟を起こしている。賠償総額は数千億ウォンに達する可能性があるという。
 浦項の地熱発電所は12年に着工し、16年に試運転を開始。地下約4キロの岩盤に高圧力で注水し、地熱に温められて発生する水蒸気でタービンを回して発電する。施設は震源地から約600メートルしか離れておらず、調査研究チームは「地下に高圧の水を注入したことで、地震が起きる可能性が高い断層に刺激を与えた」と説明した。
 政府は調査結果を受け、浦項市民への「深い遺憾の意」を表明。事業を中止して敷地を原状回復するほか、用地選定が適切だったかなども検証するという。
 島村英紀・武蔵野学院大特任教授(地球物理学)は「地熱発電が誘発したとされる地震は米国やスイスでも起きている」と指摘。日本の資源エネルギー庁は「日本国内には九州を含め約60カ所の地熱発電施設があるが、浦項のように高圧力で注水する方式は採用していない」としている。

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