[2019_03_27_04]川内原発「避難完了に60時間余」 5キロ圏内の住民 鹿児島県が公表(毎日新聞2019年3月27日)
 
参照元
川内原発「避難完了に60時間余」 5キロ圏内の住民 鹿児島県が公表

 鹿児島県は27日、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)で重大事故が起きた場合、最悪の想定として原発から5キロ圏内の住民が避難完了するまでに60時間余りかかる可能性があるとするシミュレーション結果を公表した。本来はいったん屋内退避すべき住民も一斉に避難を始めるなどした場合を想定したもので、県はシミュレーション結果を基に避難計画の見直しを進める。
 県が2014年に示した避難シミュレーションでは、30キロ圏内の住民が車で避難した場合、最も標準的な想定で完了まで22時間かかるとする試算結果を公表。しかし、避難に手間取ることが予想される高齢者や要介護者を「把握が難しい」として想定に入れていなかったことなどから自治体が反発していた。
 県は今年度に再シミュレーションを実施。原発から5キロ圏内(PAZ)と5〜30キロ圏内(UPZ)の全住民の90%が30キロ圏外の避難所に到着するまでの時間を31パターン想定して試算し、PAZの住民は最短2時間50分で30キロ圏外の避難所に到着できるとした。
 しかし、それはUPZの住民が自治体の指示に従ってまずは屋内退避をし、PAZの住民の避難を優先した場合。県は、UPZの住民が避難計画に沿わず避難を始めると深刻な交通渋滞が発生するとし、PAZの住民の避難完了までに最悪63時間半を要するケースもあり得るとした。
 県は、避難をスムーズに進めるために信号機を操作する他、警察官の交通誘導などで渋滞緩和を図り、PAZでも6時間50分まで短縮できるとみる。
 原子力防災に詳しい広瀬弘忠・東京女子大名誉教授は「必ずしも最悪を想定できているとは言えず(交通誘導などの)ソフト対策では限界がある。新たな避難道路の建設などを検討しないと抜本的な対策にはならない」と指摘している。【菅野蘭、杣谷健太】

KEY_WORD:SENDAI_: