[2019_03_29_08]北海道・本州間の新連系設備、運用スタート 再エネ導入量拡大(環境ビジネスオンライン2019年3月29日)
 
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北海道・本州間の新連系設備、運用スタート 再エネ導入量拡大

 北海道電力(北海道札幌市)は、北海道と本州を結ぶ新しい連系線、新北本連系設備が3月28日15時より営業運転を開始したと発表した。これにより、北海道と本州とを結ぶ連系設備の容量は60万kWから30万kW増加して90万kWとなる。北海道の電力の安定供給とともに、再生可能エネルギーの導入拡大や電力取引の拡大に寄与する。
 これまで、北海道と本州間は30万kW×2極(計60万kW)の既設北本連系設備(他励式HVDC)によって電力系統が連系されていた。そのため、設備点検時には半分の30万kWでの運用となっていた。そこで、北海道電力では、常時60万kWの連系量を確保するため、2014年から増強工事を進めていた。
 新北本連系設備は、北海道の北斗変換所と青森県の今別変換所、両変換所間を結ぶ約122kmの直流送電線路で構成される。交流で運用されている北海道と本州の電力系統を直流の送電線で結ぶため、双方の変換所で交流を直流に、または直流を交流に変換する。
 交流の電力を一度直流に変換して送電する直流送電システム(HVDC)では、北海道の系統規模と半導体の技術進歩を踏まえ、HVDCとしては日本で初めて自励式変換器を採用した。自励式変換器では、他励式とは異なり交流系統の電源がなくても、交流と直流の電力交換を行うことができる。

北海道から停電しても、本州側の電力で復旧できる

 交直変換設備の設計・調達・据付は、東芝エネルギーシステムズ(神奈川県川崎市)が担当した。同社は、交流・直流の電力変換を行う交直変換器や開閉装置などから構成される両変換所の交直変換設備一式を2014年に受注し、2016年8月に着工していた。
 同社は、自励式の交直変換設備を採用したメリットについて、北海道側が停電(ブラックアウト)していても本州側から電力を供給し停電復旧を助ける(ブラックスタート)機能、有効電力制御とは独立した無効電力制御機能を具備しており、他励式に比べて制約の少ない運用が可能となることをあげる。調相設備や交流フィルタが不要なため建設コストも低減する。
 同社は、1950年代にHVDCの技術開発を開始して以降、国内において、既設北本連系(函館−上北間)や紀伊水道(阿南−紀北間)などの他励式HVDCの納入実績を有している。また、2012年には、日本企業として初の海外HVDC建設案件となるイタリアとモンテネグロ間を結ぶ他励式HVDCをイタリア送電会社テルナ(TERNA)社から受注し、現在建設中だ。(後略)


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