[2019_04_05_02]放射線副読本の廃刊・使用停止を求めます すでに200人以上の若年甲状腺がんが発見されている 福島第一原発事故前の「線量限度」の20倍もの被ばくを強要している 放射線被ばくを学習する会(たんぽぽ舎2019年4月5日)
 
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放射線副読本の廃刊・使用停止を求めます すでに200人以上の若年甲状腺がんが発見されている 福島第一原発事故前の「線量限度」の20倍もの被ばくを強要している 放射線被ばくを学習する会

 文科省が昨年9月に発行した放射線副読本は、下記のように “放射線は安全だ。福島では被ばく被害は起きていない”という誤りを小中高校生に教え、放射線への警戒心をゆるめさせる危険なものです。廃刊・使用停止を要求します。

1.放射線副読本の安全論は「100ミリシーベルト未満の放射線によるがんリスクは検出困難」(11頁下段の表)という誤った認識に基づいています。
 1)自然放射線の累積1ミリシーベルトで子どものがんが増えるという論文など、100ミリシーベルト未満の被ばくでの有意ながんリスク上昇を検出した論文が多数発表されています。
 2)“100〜200ミリシーベルト被ばくのがんリスクは野菜不足によるがんリスク(1.06倍)と同程度”(10頁)との趣旨が書かれています。出典とされる論文には「野菜・果物とがんについては、関連が見られませんでした」と書かれており、上記記述は誤りです。

2.「食品中の放射性物質に関する指標等」(17頁)は、原発事故翌年の「平常時」の日本の基準値と、事故直後の緊急時の外国の基準とを比較するトリックです。同じ状況で値を比べずに、「日本は世界で最も厳しいレベル」と言うのは虚偽宣伝です。
また、引用した資料に「本表に示した数値は…安全と危険の境目では ありません」(17頁脚注11)とあるのに、本文では「厚生労働省は、食品に含まれていても健康に影響を及ぼさないと考えられる、放射性物質の量(基準値)を決めました」と書かれています。これは「安全な被ばく量」があるという誤った記述です。

3.「健康影響があるとは考えにくい」(12、14頁)としていますが、すでに200人以上の若年甲状腺がんが発見されていること、事故前の「線量限度」の20倍もの被ばくを強要していることには一切ふれていません。この副読本は被災者の苦悩を無視し、国の責任を覆い隠すものです。

4.昨春から小中学校を再開した町村でも2019年度の在校生は事故前の3%に過ぎません。子どもや若者の帰還は進まず、復興にはほど遠いのに、第2章では「復興に向けた取組が着実に進められている」と宣伝しています。
 被ばく影響を否定することが避難者へのいじめを生んでいるにもかかわらず、第2章では「根拠のない風評」がいじめを生むとして、放射線の危険性を指摘する声を抑圧しています。

5.放射線副読本は2017年12月12日の復興大臣指示に基づいて改訂されています。教育内容が政権の意向に沿ってゆがめられたことは、重大問題です。

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