[2019_04_08_01]原発の再稼働・新増設・建て替え必要 経団連が提言(毎日新聞2019年4月8日)
 
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原発の再稼働・新増設・建て替え必要 経団連が提言

 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は8日の記者会見で、日本の電力システムの再構築に向けた提言を発表した。2011年の東日本大震災以降、電源の8割を二酸化炭素(CO2)を排出する火力に頼る現状を問題視し、原発の再稼働の推進や新増設・建て替え(リプレース)の必要性を訴えた。政府がエネルギー基本計画で主力電源化を打ち出した再生可能エネルギーについては、有効活用に向けた送電網の整備を求めた。
 経団連のエネルギー政策に関する提言は17年以来。今回は原発メーカーの日立製作所出身の中西会長が主導した。提言は、大震災から8年が経過しても原発再稼働が停滞し、再エネ利用拡大のための環境整備も進まない中、火力依存度が高止まりしている現状を懸念。「日本の電力システムは危機に直面している」と強調した。その上で、エネルギーの安定供給や温暖化対策の進展に向けては、原子力を継続的に活用する必要があると指摘。安全性が確認された原発の再稼働を進めるほか、最長60年となっている既存原発の運転期間のさらなる延長や、安全性・経済性に優れた新型炉の開発について、技術的検討を行うべきだとした。
 また、再エネに関しては、太陽光などで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取り、その分を電気代に上乗せする固定価格買い取り制度(FIT)について「国民負担が増大している」と指摘。制度の見直しを求めた。政府には、事業者が投資しやすいように電力システムの将来像を明示すべきだと注文。再エネ有効活用に向けた送電網増強への財政投融資の活用も提案した。中西会長は「社会が受け入れるなら、(温暖化対策には)原発比率を高めるのが一番現実的だ」と語った。【袴田貴行】

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