[2019_04_24_01]「規制委は最低限のことをしただけ」川内原発・稼働反対の市民ら(毎日新聞2019年4月24日)
 
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「規制委は最低限のことをしただけ」川内原発・稼働反対の市民ら

 九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)などを対象に、テロ対策拠点である「特定重大事故等対処施設」(特定施設)の設置期限延長を認めない決定を原子力規制委が24日、電力会社に突きつけた。原発再稼働に反対する訴訟が相次ぐ中、運転停止へ向かうのか。地元は今後の成り行きを注視している。
 「最低限のことをしただけだ」。再稼働原発のうち1号機が全国で最も早く、来年3月に特定施設の設置期限を迎える川内原発。稼働反対の市民らでつくる「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」は決定にも警戒を緩めない。ネットワークは24日午前、規制委に設置期限延長を容認しないよう文書で要請した。これに沿う決定だったが、高木章次代表(67)は「日ごろから電力会社の都合に合わせて対応している。姿勢が変わったわけではない」と規制委に不信をあらわにし「原発は今すぐ止めるべきだ」と訴えた。
 川内1、2号機を巡っては、福岡地裁で6月、新規制基準に適合するとした原子炉設置変更許可の取り消し訴訟が判決を迎える。原告の一人で薩摩川内市の鳥原良子さん(70)は「今回はきちんとした判断」と評価しつつも「九電が今後どんな手段を取ってくるか。規制委は手抜き工事などを監視する必要がある」と話した。
 鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事は「今後の動向を見守ってまいります」と静観姿勢。原発との共存を打ち出してきた薩摩川内市の岩切秀雄市長は「コメントは控える」と戸惑いを隠せない様子だった。
 佐賀県玄海町の九電玄海原発3、4号機も特定施設完成は2022年8〜9月の期限に遅れる見通しだ。同県の山口祥義(よしのり)知事は「規制委員会の断固とした姿勢を評価している」と述べた。一方、立地する玄海町の脇山伸太郎町長は「期限内の対応ができるよう、九電は真摯(しんし)に対応してほしい」と求めた。同町の男性幹部は「止まったら交付金はどうなるのか。問題もなく回っているのだから止めてほしくない」と本音を漏らした。【菅野蘭、降旗英峰、関東晋慈、原田哲郎】

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