[2019_05_31_03]南海トラフ地震、首相が事前避難指示 「半割れ」時、関連自治体に(東京新聞2019年5月31日)
 
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南海トラフ地震、首相が事前避難指示 「半割れ」時、関連自治体に

 政府の中央防災会議は三十一日、南海トラフ巨大地震の「防災対策推進基本計画」を修正した。東西に長い震源域の片側で大地震がある「半割れケース」の際、残る側での事前避難といった後発地震への警戒措置に関し、緊急災害対策本部長の首相が関係自治体に「指示する」と明記。最悪三十三万人超としていた死者数は、住民意識や耐震化率の向上に伴い27%減ったとの推計も示した。
 二〇一四年に策定した基本計画の修正は初めてで、今年三月に政府が公表した自治体と企業向けの対策指針を反映させた。これに基づき政府は、関係自治体に地域の対策計画を見直すよう促す。同会議会長の安倍晋三首相は「さらなる防災・減災対策の充実、強化を着実に推進してほしい」と閣僚らに求めた。
 基本計画は、策定から十年間の対策を通じて死者数を「八割減」に、全壊を約二百五十万棟から半減にするとの目標を掲げている。今回の推計は一八年度時点。死者は二十四万二千人で、全壊は13%減の二百十七万棟とした。ただ内閣府は「あくまでも参考値」としており、計画上の被害想定は変更せず、耐震化などを引き続き進める。
 計画の修正は、過去に大きな被害をもたらした記録が残る半割れケースへの対応が中心。後発地震が起きてからでは避難が間に合わない「事前避難対象地域」を沿岸自治体があらかじめ指定し、避難所や経路なども含めて地域計画に盛り込むよう定めた。警戒措置の期間は原則一週間で、市町村に対する首相の指示は都府県経由とした。

<半割れケース> 南海トラフ巨大地震の東西に長い震源域のうち、片側で大規模地震が起き、残りの領域でも大規模地震が起こる可能性が高まったと考えられる場合を指す。南海トラフ沿いでは、過去に震源域の東西で時間差をもって地震が起きた例がある。1944年の昭和東南海地震の約2年後に、昭和南海地震、1854年には安政東海地震の約32時間後に安政南海地震が起きた。

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