[2019_06_27_01]「深海魚目撃→大地震の前兆」は迷信 研究チーム、統計で裏付け(静岡新聞2019年6月27日)
 
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「深海魚目撃→大地震の前兆」は迷信 研究チーム、統計で裏付け

 「『深海魚が現れるのは大地震の前兆』との言い伝えは迷信」―。東海大海洋研究所(静岡市清水区)と静岡県立大グローバル地域センター(同市葵区)の研究チームは26日までに、深海魚が日本近海で捕獲、または目撃された事例を過去約90年、300件超調査した結果、大地震発生との相関関係は認められなかったとする論文をまとめた。米国地震学会誌のオンライン版に掲載した。
 責任者の織原義明東海大特任准教授によると、気象庁に公開地震データが残る1920年代前半以降、日本近傍で漂着したり捕獲されたりしたリュウグウノツカイやサケガシラなど深海魚8種に関わる学術文献、各地の水族館情報、地方紙記事を収集。1928年11月26日から2011年3月11日までに336件のサンプルが集まった。
 このうち深海魚の漂着や捕獲から30日以内に、出現場所から半径100キロ以内でマグニチュード(M)6・0以上の大地震が発生したケースを調べたところ、該当したのは2007年7月16日の新潟県中越沖地震(M6・8)だけだった。
 県立大の鴨川仁特任准教授は、深海魚と大地震とを結び付ける伝承について「相関関係が裏付けられれば防災上の有益な情報になり得ると思った」と研究に取り組んだ経緯を説明。その上で「この種の言い伝えはSNSで拡散されがちだが、統計上あくまで迷信と分かった。こうした情報が回ってきても振り回されない冷静さが必要」と話した。

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