[2021_01_12_01][社説]月城原発のトリチウム流出、徹底した真相究明を(ハンギョレ新聞2021年1月12日)
 
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[社説]月城原発のトリチウム流出、徹底した真相究明を

 慶尚北道の月城(ウォルソン)原発でトリチウム(三重水素)が広範囲に流出したことをめぐり、あきれた論争が起きている。最近のハンギョレと文化放送(MBC)の関連報道に対し、原発賛成派の専門家や一部のメディアが「誇張」だの「怪談」だのと言って非難を浴びせているのだ。トリチウムが検出されてはならない場所で、流出が続いた結果と見られる情況が明らかになっているにもかかわらず、これを自然な現象であるかのように報ずることこそ、誇張であり怪談だ。真相究明作業を妨害するインチキとしか受け止めようがない。
 本紙とMBCの報道は、月城原発を運営する韓国水力原子力(韓水原)の独自の報告書をもとにしている。報告書によると、韓水原は2019年4月、月城原発3号機のタービン建屋下部の地下水排水路に溜まった水から、1リットル当たり71万3000ベクレルのトリチウムを検出した。排出基準値(4万ベクレル)を18倍も上回る濃度だ。月城1、2、3号機の使用済み核燃料プールの下部の地下水などからも基準値に迫るトリチウムが検出された。いずれもトリチウムの排出経路とは無関係な場所だ。
 にもかかわらず、原発賛成派の専門家や一部メディアなどは、検出されたトリチウムは誤って流出したのではないと主張する。自然の中からもその程度は検出されただとか、溜まった水だから濃度が上昇したなどというのだ。地域住民の1年間の被爆量はカタクチイワシを1グラム摂取した程度だとし、人体に無害だという主張すら行っている。原子力専門家は医学専門家ではない。それに欧州放射線リスク委員会は、トリチウムによる内部被ばくががんを誘発しうると警告している。
 彼らの主張が正しいのなら、韓水原はなぜ、2019年から地下配管や使用済み核燃料プールなどをトリチウムの主な流出源と見て、設備の交換や補修などの対策を進めてきたのか、問わざるを得ない。日本の福島第一原発の汚染水排出計画のように、決まった基準による決まった経路からのトリチウム排出も問題だが、どこからどのように漏れているかも分からない流出は、より深刻な問題だ。「非計画的な流出は確認されていない」というのが韓水原の公式の立場だというが、さらなる確認作業が必要だという話にほかならない。
 環境諸団体は11日、官民合同の調査を要求した。不良部品の納入や贈収賄のような韓水原の過去の行いを考えれば、極めて当然の要求だ。韓水原はまず、調査された結果を徹底して公開しなければならない。「原発安全神話」を説いてきた原発賛成派の専門家にも、官民合同調査に積極的に参加することを願う。
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