[2021_01_21_07]再処理工場 「汚染セルの耐震困難」 東電、07年内部資料に見解(東奥日報2021年1月21日)
 
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 東京電力が2007年、日本原燃・六ケ所再処理工場が想定する地震動が引き上げられた場合、放射性物質で汚染されたセル(厚いコンクリ−トで密閉された部屋)内の機器の耐震補強が必要となるものの、セルに近づくことは困難−と内部資料に記載していたことが20日、分かった。当時、再処理工場が設定していた基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は450ガルで、一部機器は耐震性に「ほとんど余裕がない」との認識も示している。資料を入手した核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団は「再処理工場の耐震補強は著しく困難であることが分かる」としている。
 東電ホールディングスは取材に、同日中に回答できないとした。原燃は「人が立ち入れないセルはあらかじめ余裕を持って設計されており、耐震補強工事を行う必要はない」と答えた。
 資料は07年12月、新潟県中越沖地震を受け、原発などの耐震性を再確認するバックチェックの内部会議で示されたもの。福島第1原発事故を巡り東電の旧経営陣3人の刑事責任を問う裁判で、検察官役の指定弁護士が証拠として提出し、その後、東京地裁の取り寄せを経て、民事の株主代表訴訟でも証拠提出された。原告団は22日、再処理工場の事業許可取り消しを国に求めた訴訟(青森地裁)の口頭弁論で詳細を公表する。
 原燃の株主でもある東電の内部資料では、再処理工場について「450ガルに対しほとんど余裕のない機器が存在」と記載。680ガルに引き上げれば、放射線量が高く人が立ち入ることができないセル内の機器が「要補強となるが、アクセス困難」と指摘している。
 再処理工場は06年から、使用済み核燃料を用いたアクティブ試験(最終試運転)を開始した。昨年7月に原子力規制委員会の安全審査に合格し今後、耐震を含む安全対策工事を計画している。原燃は審査の過程で、基準地震動を700ガルに見直した。
 原告団の訴訟代理人の一人、海渡雄一弁護士は「再処理工場はこれから安全工事を行うための認可審査に移るが、東電が当時から耐震補強が困難だとはっきり『自白』している」と述べた。  (本紙取材班)
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