[2021_02_04_03]柏崎刈羽原発 再稼働は「四面楚歌」 東電失態、推進派も批判(毎日新聞2021年2月4日)
 
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柏崎刈羽原発 再稼働は「四面楚歌」 東電失態、推進派も批判

 東京電力柏崎刈羽原発で、ID不正入室や安全対策工事未完了などの失態が相次いだことを巡り、再稼働の推進派からも批判が出始めた。地元同意の可否を握る県も態度を硬化させており「四面楚歌(そか)」の状況。政府や東電が「6月以降」と描く7号機の再稼働の工程は見通せなくなっている。【内藤陽、井口彩】

 「大きな失望。信頼関係を揺るがしかねない事態だ」

 柏崎商工会議所の西川(さいかわ)正男会頭は3日、柏崎刈羽の石井武生所長を呼び、問題の解明と再発防止などを申し入れた。商議所は7号機再稼働に向けた「地ならし」を進めてきており、推進派の急先鋒(せんぽう)だ。
 商議所が柏崎刈羽を誘致してから2019年に50年を迎えた。20年12月には、東京商工会議所幹部らを現地視察に招くなど、着々と環境を整えてきた。そのさなかに、ID不正入室や安全対策工事未完了の失態が発覚した。
 申し入れ書で西川会頭は、ID不正入室と安全対策工事未完了の解明と再発防止策の確立▽地域への説明▽信頼回復への全力での取り組み――の3点を要求。「(商議所は)誘致した責任を認識し活動を始めた中で、非常に残念でならない。東電ともあろう会社が……」。西川会頭は悔しさをにじませ、東電の認識をただした。
 石井所長は「二つの事案を社内でも重大なこととして受け止めている。事象の解明を行うと共に、今後の再発防止策も早急に考えしっかり対応していきたい」と述べ、改めて陳謝した。
 面会後、西川会頭は申し入れの理由について、「東電と私たちの認識にかなりのずれがあることを心配し、あえて強く申し入れた」と説明。1月28日に東電から今回の問題について説明を受け、「(東電の認識には)我々が思っている重大さとギャップがあると感じた」と述べるにとどめた。今後は(東電の)回答を見た上で次のステップに進むという。

 ◇「数カ月遅れる可能性も出た」 柏崎市長会見

 桜井雅浩・柏崎市長は3日の定例記者会見で、7号機の再稼働が「数カ月遅れる可能性も出てきた」と、工程が遅れるとの見方を初めて示した。これまで「今年前半が重要」との認識を示していた。
 その上で、商議所からも東電に批判が出ていることについて「50年間、原発を推進してきた団体の商議所から、厳しい意見が出たこと自体、東電には十分に感じ取ってほしい」とクギを刺した。
 花角英世知事は3日の記者会見で「(謝罪の)言葉はいらないので、行動と実績で示してほしい」と述べ、東電とは面会しない考えを強調した。
 1月29日に自民党県連幹部に直接謝罪した東電新潟本社の橘田昌哉代表は「県から求めがあれば」、花角知事にも面会や謝罪をするとしていた。
 自身の知事就任以降、同原発の ケーブル火災(18年11月)新潟・山形地震での情報伝達ミス(19年6月) など東電によるトラブルがあったと言及。「ミスといえばミスの類いなのかもしれないが、(それらが)積み重なっていることに非常に不信感がある」と批判。東電に対し「何の説明においでになるのか。おわびに来てもらっても、もう意味がない」と突き放した。
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