[2021_02_14_42]2021年2月13日福島県沖の地震の評価(地震調査研究推進本部地震調査委員会2021年2月14日)
 
参照元
2021年2月13日福島県沖の地震の評価

○ 2月13日23時07分に福島県沖の深さ約55kmでマグニチュード(M)7.3(暫定値)の地震が発生した。この地震により宮城県及び福島県で最大震度6強を観測し、被害を伴った。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ その後、M7.3の地震の震源を含む北東−南西方向約40kmに延びる領域で、14日19時までに震度3以上を観測した地震が3回発生するなど、地震活動は継続している。14日19時までの最大の地震は、14日16時31分頃に発生した M5.2(速報値)の地震である。

○ この地震の発震機構と今回の地震活動の分布から推定される震源断層は、北北東−南南西方向に延びる東南東傾斜の逆断層である。

○ この地震により、宮城県石巻市の石巻港(港湾局)観測点で0.2m(速報値)など、宮城県・福島県の沿岸で津波を観測した。

○ 今回の地震に伴って、宮城県山元(やまもと)町のKiK-net山元観測点で1,432gal(三成分合成)など、大きな加速度を観測した。

○ GNSS観測の結果では、地震に伴って、福島県南相馬(みなみそうま)市の小高(おだか)観測点とS南相馬A観測点が西に2cm弱(暫定値)移動するなどの地殻変動が観測された。

○ 揺れの強かった地域では、地震発生から1週間程度、最大震度6強程度の地震に注意が必要である。特に地震発生から2〜3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くある。

○ 今回の地震は、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(以下、東北地方太平洋沖地震)の余震域で発生した。余震活動は全体として徐々に低下している傾向にあるものの、1年あたりの地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震前より多い状態が続いている。

○ 「日本海溝沿いの地震活動の長期評価(平成31年2月26日公表)」(以下、長期評価)では、日本海溝沿いの領域は、国内の他の海溝沿いの領域に比べて定常的に地震活動が活発で、規模の大きな地震が高い確率で発生すると評価している。今回の地震も、震源位置、発震機構、Mの大きさなどから、地震調査委員会が想定していた沈み込んだプレート内の地震(青森県東方沖及び岩手県沖北部〜茨城県沖)であると考えられる。なお、令和3年2月14日地震調査研究推進本部地震調査委員会長期評価では、M7.0〜7.5程度の地震が30年以内に発生する確率はIIIランク(*)で、海溝型地震の中では発生する確率が高いグループに分類されている。さらに、東北地方太平洋沖地震以降、沈み込んだプレート内の地震は、より高い頻度で発生しており、確率はより高い可能性がある。

○ 今後も長期間にわたって余震域や内陸を含むその周辺で規模の大きな地震が発生し、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があることに注意が必要である。

○ なお、2004年に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(モーメントマグニチュード(Mw)9.1)では、3ヵ月後にMw8.6、約2年半後にMw8.4、約5年半後にMw7.8、約7年半後および約11年後に海溝軸の外側の領域でそれぞれMw8.6及びMw7.8の地震が発生するなど、震源域及びその周辺で長期にわたり大きな地震が発生している。

*:海溝型地震における今後30年以内の地震発生確率が26%以上を「IIIランク」、3%〜26%未満を「IIランク」、3%未満を「Iランク」、不明(すぐに地震が起きることを否定できない)を「Xランク」と表記している。

注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。

(後略)
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