[2021_02_16_11]福島第一原発事故原因調査報告書のパブコメ開始 規制委に対して事故原因調査について意見を送ろう 複数号機の炉心溶融と格納容器破損は最初の原因は地震であり その後は津波による「全電源喪失」 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年2月16日)
 
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福島第一原発事故原因調査報告書のパブコメ開始 規制委に対して事故原因調査について意見を送ろう 複数号機の炉心溶融と格納容器破損は最初の原因は地震であり その後は津波による「全電源喪失」 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◎ 福島第一原発事故調査を行っている規制委は1月28日に事故中間報告の案を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。
 事故調査についての意見募集は始めて。
 これまでの調査では、多くのことが明らかにされ、報道もされている。

◎ 例えば1号機の建屋にあるSGTS配管(非常用ガス処理系)。
 これは原子炉建屋から排気筒に延びる配管だが、建屋の外では極めて高い線量を出す汚染源になっていることが分かっている。
 ベントにより高線量の放射性ガスがSGTS配管を通じて排気筒から放出されたが、1号機建屋内の配管も数シーベルトという極めて高い線量を出すことが明らかになった一方、2号機の配管と遮断弁付近は強い汚染は見つからなかった。
 これにより1号機のベントは実施されたが2号機は失敗したと考えられる。
 また、3号機の爆発についても「多段階事象説」という内容で、段階的に爆発が発生していることも記載されている。
 『水素爆発時の映像等を用いた検討の結果、3号機の水素爆発は単純な非常に短時間での爆発による単一現象ではなく、多段階の事象が積み重なったものとする「多段階事象説」が有力との認識に至った。

◎ 「多段階事象説」の概略及びイメージ図は以下のとおりである。
(1) まず、原子炉建屋を北西方向に変形させる(水素爆発と推測される)前駆爆発が発生し、原子炉建屋に変形をもたらす。
(2) これにより、原子炉建屋南東部の屋根に損傷が生じ、水素を含む可燃性ガスが燃焼する火炎が原子炉建屋外部に発生。同時にこの火炎の下部に位置する原子炉建屋5階の南側の壁が崩落。
(3) また、(1)の水素爆発により、原子炉建屋北西部の4階と5階の境界付近が北西方向に膨張破損した。
(4) (2)及び(3)の後(1/60〜1/30秒後)、原子炉建屋中央部の屋根が上方に膨張し始め、その後、原子炉建屋内に残存した水素などの可燃性ガスが燃焼する。
(5) 原子炉建屋南東部の火炎は、0.4秒程度継続した後、球状の噴煙下部の低圧部に取り込まれる。
(6) さらに(4)の可燃性ガスの燃焼は、球状の噴煙となって上昇する過程に移行。
(7) 原子炉建屋の屋根と思われる巨大な破片がほぼ垂直に約200m吹き上げられた。
 これについては以前から事故の中でもミステリーの一つとして指摘されてきたことで、1号機の水素爆発と3号機のそれが大きく異なる性質を持っており、その理由として3号機は核爆発(核暴走)から水素爆発へと移行したものとの主張があった。
 規制委は爆発の原因を水素としているものの、段階的爆発は認めている。

◎ このように、これまであまり論じられていない事故の進展についてかなりの分量で記載をしている。
 世界に例のない複数号機の炉心溶融と格納容器破損は何故起きたのか、その最初の原因は地震でありその後は津波によるSBO(ステーション・ブラック・アウト)※だが、そのことが記載されていない。これもまた論じるべき論点である。
 その他、多くの意見があると思う。是非、多くの意見を送ろう
※注:SBO(ステーション・ブラック・アウト)
   「原子力施設における全電源喪失状態」

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原子力規制委員会の公表したパブリックコメントの要項
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 「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る
中間取りまとめ(案)」に対する意見の募集について 令和3年1月28日
                   原子力規制委員会
(後略)

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