[2021_03_01_04]「想定外」に頼る専門家 専門家の責任感・倫理感の低さは東電福島第一原発事故で明確に証明された 上岡直見〔環境経済研究所代表〕(たんぽぽ舎2021年3月1日) |
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◎ 東京都調布市の外環道大深度トンネルに関連する陥没事故に関して設置された有識者委員会は、トンネル工事と事故の因果関係を認めた一方で「特殊な地盤によるもの」と除外条件をつけている。 これに関してリニア工事で同様の問題が懸念されている岐阜県で活動するフリージャーナリストの井澤宏明氏が、同委員会の小泉委員長にインタビューを試みている。(※) ◎ 井澤氏は「大深度工事は地上に影響を与えない前提で行われてきたのに調布の陥没が起きたのは、専門家でも予測できなかったということか」「そうであれば大深度工事を続けてはいけないのではないか」と質問した。 これに対して小泉委員長は「そうしたら我々は地上に住んじゃいけないんじゃないですか。いつ星が落ちてくるか、いつ何が起こるかわかりませんよね」と答え、井澤氏は呆れている。 ◎ これを聞いて反原発運動に関わってきた人なら直ちに1975年の「ラスムッセン報告」を思い出すだろう。 原発の過酷事故を確率的に評価すると、原子炉1基あたり10億年に1回であり「ヤンキースタジアムに隕石が落ちるのを心配するようなもの」と表現している。 しかし、その後チェルノブイリ・スリーマイル・東電福島第一原発事故など、数十年の間に一般公衆に大被害をもたらすような過酷事故が立て続けに起きた。 ◎ ラスムッセン報告と小泉委員長の発想は「星が落ちてくる」というたとえからして共通点が多い。 結局のところ専門家といっても、政権や企業の意向に沿う範囲で条件を設定して説明を作り上げ、実際に事が起きると「想定外だ」として責任を回避するのだろう。 専門家の責任感・倫理感の低さは東電福島第一原発事故で明確に証明されたといえよう。 (※)井澤氏の記事は下記サイトより http://niramekko.com/web/8019.html |
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