[2021_03_27_05]県浸水予測見直し 八戸の津波高26m超/日本海溝地震を反映「津波浸水予測図」公表(東奥日報2021年3月27日)
 
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県浸水予測見直し 八戸の津波高26m超/日本海溝地震を反映「津波浸水予測図」公表

 国が2020年4月に示した日本海溝・千島海溝沿いを震源域とする巨大地震想定を踏まえ、県海岸津波対策検討会(座長・佐々木幹夫八戸工業大名誉教授)は26日、青森県沿岸域の最大津波高などを15年以来6年ぶりに見直し、新たな「津波浸水予測図」を公表した。津波高の変更に伴い、多くの地点で浸水域が広がった。県内最大の津波高は八戸市の26.1メートルで、従来の県想定を3メートル上回った。県内の津波浸水想定の詳細は、県海岸津波対策検討会のサイト(https://www.pref.aomori.lg.jp/kotsu/build/tunami-kentokai.html)で見ることができる。
 20年の国想定のデータを、県が最新の地形状況などを踏まえて津波高などを再検討した。沿岸22市町村中、八戸市など太平洋側、陸奥湾、津軽海峡に面した9市町村の津波高は従来の県想定を上回り、20年の国想定と同じ数値となった。八戸市以外では、階上町21.5メートル(15年までの県想定比1.5メートル高)、佐井村6.5メートル(1メートル高)、青森市5.4メートル(1.7メートル高)など。
 むつ市、平内町、外ケ浜町、大間町の津波高は20年の国想定と従来の県想定を上回った。
 このほかの自治体は、国想定が従来の県想定より低かったため、これまでの最大津波を調整した数値とした。
 県は昨年11月に検討委を開き、新たな想定を設定するため構造物や地形など前提となる条件を整理し、事業者に津波浸水想定の試算を委託していた。今回発表された予測図は、県が15年までにまとめた沿岸域の津波想定14例に加え、20年の国想定5例と、国が用いたデータを県が再試算した5例、計24例を比べ、最大津波を抽出した。
 今回示されたのは数値データのみで、県は4月中に詳細を盛り込んだ「解説書」を公表する。今後、県や自治体は、予測図や解説書などを基に、津波ハザードマップや避難計画、被害想定などの見直しに着手する。

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 日本海溝・千島海溝沿い巨大地震 内閣府の有識者会議が将来的に発生するとして2020年4月に示した新たな巨大地震モデル。東日本大震災の震源を含む東北沖から北海道・日高沖に続く「日本海溝」と、十勝沖から千島列島沖に延びる「千島海溝」沿いでは、過去にマグニチュード(M)7〜8級の地震が繰り返し発生している。有識者会議は、日本海溝北部の「三陸・日高沖」と、千島海溝の「十勝・根室沖」を震源域とする地震が起きた場合、岩手県と北海道に最大30メートル近い津波が到達すると想定している。青森県は八戸、三沢、七戸、東北、六ケ所の5市町村で震度6強を観測し、沿岸22市町村すべてで東日本大震災の津波高を超える。最大は八戸市の26.1メートルで、太平洋側の市町村はいずれも10メートル以上。陸奥湾内の青森市にも最大5.4メートルの津波が予想される。
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