[2021_04_05_04]放射性廃棄物の地層処分について(その9) 放射性廃棄物の地層処分と化石水問題(ステンレス製キャニスタの耐用年数は数年〜十数年)平宮康広(信州大学工学部元講師)(たんぽぽ舎2021年4月5日)
 
参照元
放射性廃棄物の地層処分について(その9) 放射性廃棄物の地層処分と化石水問題(ステンレス製キャニスタの耐用年数は数年〜十数年)平宮康広(信州大学工学部元講師)

◎ 地下水系が立坑の壁を突き破った場面で、立坑が巨大な「水道管」になり、地下施設が水没する。そして水が地上施設に溢れ出す。
 埋設したガラス固化体と「ドラム缶」をただちに引き上げる必要があるが、推定1日1000〜1万トンの水が浸水すると考えられ、おそらくできない。
 その後「大惨事」が勃発する。地下300m以深に埋設したガラス固化体と「ドラム缶」は、30気圧以上の水圧に耐えるだろうか。
 おそらく、水圧がステンレス製キャニスタを破損してガラス固化体が破損する。そして「ドラム缶」がつぶれる。
 ガラス固化体が破損して「ドラム缶」がつぶれた後、水は放射能汚染水になる。地下水系はつながっているので、広い範囲で地下水が放射能汚染水になり、海洋に流出して海水を汚染する。

◎ 仮にガラス固化体の数が1万体で、1体あたりの放射性核種が広島型原爆3発分としても、広島型原爆30万発分の放射性核種が大量の地下水と海洋を汚染する。あきらかに、被害は3.11東電福島第一原発事故を凌駕する。

◎ ところで、経産省とNUMOは、50年の歳月をかけて4万体のガラス固化体と「ドラム缶」を地下施設に埋設した後、立坑を土砂で埋めて地下施設を封鎖する、と述べている。
 彼らは、封鎖してから10万年間、放射性核種が外部に漏れることはない、と豪語する。
 だが、封鎖してからおそらく数年〜10数年後に放射性核種が外部に漏れる。

◎ 経産省とNUMOは、ガラス固化体を実装するステンレス製
キャニスタの耐用年数は1000年以上ある、と豪語している。
 他方、彼らはガラス固化体が放出する放射線量は1000年後に100分の1になる、と述べている。
 放射線量が1000年後に100分の1になるとの考えは、意外に妥当であるが、経産省とNUMOは、したがって1000年後であれば、ガラス固化体の放射性核種が外部に漏れることがあっても被害は小さい、と考えているようにも思う。
 しかし、礫層と岩盤層の間に化石水が滞留している。化石水が封鎖した地下施設に浸水し、人口バリアに浸水してステンレス製キャニスタを侵食する。そのためステンレス製キャニスタは数年〜10数年で腐食する。

◎ 化石水がステンレス製キャニスタを侵食すると考える理由は後述するが、「大惨事」が勃発することなく50年の歳月をかけて4万体のガラス固化体と「ドラム缶」を地下施設に埋設できたとしても、数年〜10数年後に放射性核種が外部に漏れて拡散する。
 この「拡散」がどれだけ長く続くかは不明であるが、地上からは手の施しようがいない。
 だが、経産省とNUMOにとって、「拡散」は杞憂であるらしい。
 彼らは、ステンレス製キャニスタの耐用年数が1000年以上ある、と信じて疑わない。           (その10)に続く
KEY_WORD:地層処分_:FUKU1_:汚染水_: